au+保険のセット割りは契約者にとって是か非か?

auが携帯と保険とセットで契約することで
携帯料金を実質割り引くサービスが
波紋を広げているようです。

さてこの割引サービス。

法的に是か非かは金融庁や法律の専門家にお任せするとして、
消費者にとって本当にメリットがあるのかどうか
考えてみました。

auはなにをやって物議をかもしているのか?

auの金融サービスセット割引が議論に
geralt / Pixabay

こちらの記事
au+保険「セット割引」が波紋 業界反発、金融庁は立場保留|日経電子版

で取り上げられているauの割引サービスは、
こちらのことですね。

auの金融サービスセット割

携帯電話と一緒に
au医療ほけん、au定期保険、au医療保険レディースなどを
セットで契約すると、「携帯料金」から毎月200円を割引く
というサービスになっているようです。

保険業法では過度な売り込みを防止するため、
保険販売と一緒につける「過剰なおまけ」を禁止しています。

どこまでやれば過剰なのか?
というのが法律の難しいところですが、
このauの金融サービスセット割引が
保険業法に抵触するのではないか?
ということで、業界から波紋が出ているわけです。

保険は相互扶助というが…

僕は保険の販売に一切関わらない立場で
活動を続けていますが、その立場にいて
わかってくることもあります。

それは、保険の販売サイドと契約者サイドの
「情報の非対称性(情報格差)のひどさ」です。

どのような業態であっても、
ある程度の情報格差は仕方ないと思いますが、
中でも保険は情報格差の大きなほうだと思います。

例えば契約者であっても、どのような場合に保険金がでて、
どのような場合に出ないのか正確な把握は結構難しいです。

(本来、そういった「きちんと理解できない」保険には
加入すべきではないと思いますが…。)

よく考えるとこれは大きな問題で、というのも
保険金というのはひとたび出れば大きな額ですから、
どういう条件で出るのか出ないのかを正確に知っておくことが
保険の価値を大きく高めるからです。

ただ、これは契約書を「よーく」読めばわかる部分であり、
まだ格差とはいえないのかもしれません。

やはり一番問題といえるのが
「経費率(付加保険料率)の開示とその根拠」です。

これについては、ほとんどの契約者は
それをうかがい知ることすらできません。

保険の暗黒面といってもいいと思います。

本来、相互扶助と言うなら、
契約者も同じ投資家のようなものですから、
しっかりと情報開示したり、保険の仕組みをもっと
積極的に教育していくなどの活動が必要と考えます。

が、これはもちろん保険会社の利益に直結しませんので、
そうした活動は消極的になりがちです。

一部、経費率の開示が始まるようですが、
まだまだ氷山の一角にすぎないでしょう。

同じ共同出資の仕組みである
株式会社や投資信託などでは
こうした情報開示は一歩先んじています。

また、会計の歴史をひも解けば、
経理情報を開示しなければ監視の目が届かなくなり
業界が弱体化していくことは十分に考えられることです。

(今の業界が弱体化しているかどうかは分かりませんが)

そういう意味では、長い目で見て
業界にとっても経費率を含めた情報開示は
望ましいといえるのではないでしょうか。

保険も金融商品としては同じですし、
情報開示してはいけないということは決してありませんから、
業界と契約者のためにどんどん開示していって欲しいと思います。

このあたりは金融庁もがんばって
法改正等を検討していってほしいですね。

実は業界は「パンドラの箱」を恐れている?

業界はauを恐れている?
Peggy_Marco / Pixabay

さて、ここからは個人的な推測に過ぎませんが、
さきのauのセット割がここまで業界内で物議を醸しているのは
もしかしたら「パンドラの箱が開けられてしまうことを恐れている」
のかもしれません。

というのも、例えば、
セット割による割引競争が勃発し、
あちらが下げればこちらはもっと下げる…
という状況になったとしましょう。

そうすれば契約者としては節約になりメリットが大きいですが、
「じゃぁこれだけ割引しても(保険会社は)利益がでるの…?」
という素朴な疑問もわいてきます。

となると、実質的な経費率の開示のような状態になり
保険業界としてはヒヤヒヤ、なのかもしれません。

もちろん、先の記事で指摘している
保険業法の問題もあるとは思いますけどね。

いろいろ批判(?)めいたことも書きましたが、
僕としては全体として良くなっていく方向に
進んで欲しいという願いを込めています。

また、当たり前ですが、
「保険なんてなくなればいいや」
というつもりも全くありません。

相互扶助として、
社会のセーフティーネットとして
やはり必要なものです。

だからこそもっと健全で、もっとシンプルに使いやすく
保険料の妥当性についても契約者とともに
十分練られた保険が増えてほしいなと思います。

まとめ

多少の割引があっても、不要な保険には入らないという基本は変わりません。

ただ、保険業界と契約者との情報格差は依然として大きいです。

任意で加入できる公的保障などを上手に活用することで、カバーできる部分も多くありますので、契約者側も自発的にしっかり学んでいきましょう。

↓期間限定の無料コンテンツをお受け取り下さい

資産形成メルマガ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です