ご用心。堅調な株価から本当に学ぶべき長期投資の本質とは?
今、株価がとっても堅調で、僕のリスク資産も
10月から突如として+10%ほど増えましたが、
(というか、単に戻ってきただけですが)
もしあなたが
「堅調だから嬉しい」
「堅調だから売らない。むしろ買い増ししたい。」
とお考えなら、それは要注意のサインです。
株価が堅調でも喜んではいけないとは、
一体どういうことなんでしょうか?
長期投資の理屈とは?
まずはおさらいです。
MSCIコクサイインデックス(USDベース、配当込み)データを使って
様々な年から投資を開始したときの投資期間とリターンの関係を
図示しています。
しかし、どこから投資を開始するにしても、保有が長期になればなるほど、
リターンが上振れしていっている様子が分かります。
例えば25年持てば、最悪でも資産は8倍程度になっています。
実際にはファンドの保有コスト等がかかって来ますからこれより低くなるにせよ
悪くはない結果といえるでしょう。
上のグラフから見れば、ここ最近の堅調相場なんて
「誤差」程度でしかないことが分かりますね。
同様に10月の下落相場も誤差です。
グラフに戻って、一方でリターンのブレ幅(=リスク)も
次第に大きくなっていることも分かります。
つまり、長期投資というのは時間がたつごとに
リスクが増大していくことが分かります。
各投資期間におけるばらつきは、
投資を開始した年(タイミング)に依存していますが、
どの年から投資を開始したら、例えば25年後にリターンが最大になるのか?
を事前に予想することは誰にもできません。
したがって、リターンのブレ(リスク)は潔く受け入れるしかありません。
詳しい分析はこちらの過去記事
長期投資って、リスクが大きいの?小さいの?どっちなの!?
を参考にしてください。
長期になればリターンのブレ(=リスク)は増大しますから、だからこそ、
その他のリスクである流動性リスクや信用リスクなどを
最小限に抑えるための国際分散投資が基本になります。
長期投資はそのリスクを理解し、受け入れながら、
長期的にはまぁうまくいくだろう、という期待をもって
行う投資なのです。
まずはこの基本事項をしっかり頭に入れておいて欲しいと思います。
もちろん、過去は未来を保証しませんから、
このとおりにならなかった!
といって僕を責めないでください(笑)
あくまでも、過去は過去。
分からない未来を受け入れるのが「投資」ですから。
一番危険なのはあなたの心
さて、ビジネスで成功するには知識とココロの鍛錬が必要です。
これは投資で成功するためにも、同じく必要なことです。
特に投資の場合、商品のスイッチングが「簡単すぎる」ために
少しでも弱いココロが現れると、
アレがいいかも、コレがいいかも…
と迷いが生じてしまいます。
そこで値上がりした時に焦って買い進んで高値づかみしたり、
暴落したときに狼狽(うろた)えて売却してしまったり、
を繰り返していると、資産はみるみる減っていきます。
こうした心理に基づく行動が投資に悪影響を及ぼすことは
行動経済学の分野で過去からたくさん研究の積み重ねがあって
理論的にもずいぶん、わかってきています。
例えばトレードに影響する心理として代表的なものに
- 自信過剰(と自信喪失)の効果
- 利益と損失の認知バイアス
などがあります。
わかっているから回避できるはずなんですが、
それでもなお、非合理的な行動を取ってしまうという場合
腹落ちするまで理解しきっていない可能性があります。
そもそも長期投資では「買ったら売らない」
が基本ですから、どんなにココロが動揺しようが、
少なくともその場では売ったりしないのが基本です。
逆に、堅調だからワクワクして買う、ということもしません。
売買する場合は、事前の投資計画を参照し、
なんのためにそれを行うのかを必ず確認してください。
どちらかというと、修行(!)に近いイメージですが
そもそも投資というのはエンターテイメントではありませんから、
これが正しいわけです。
余談ですが、逆にワクワクする(させる)ようなページで
投資家を募集するものは、化粧がゴッテリ塗られた
詐欺的案件ではないかと、疑ったほうがいいでしょう。
長期投資で成功するためには、
理論面での理解と、心理(認知)面の理解が欠かせません。
秋は学びを深めるチャンスです。
この好調相場を糧(かて)に、しっかりと学びを深めていきましょう。