「お金があれば幸せになる」と考えている人へ。
こんにちは。林FP事務所の林です。
先日、外を歩いているときに
たまたま隣を通りかかった
スカイラインGTR。
俗にスカGとか、スカGRと呼ばれる
高級スポーツカーですが、僕の中では
どちらかというと「やんちゃ」なイメージです。
そのスカイラインGTRが、丁寧に横断歩道の前で止まって
子どもたちが安全に通行するのを待っていました。
これを見て僕は、
「おぉ、このドライバー、すごくカッコいいな!」
と思ったのですが、その時ふと気になったので
お金と心の関係について僕の考えを
少し書いておきたいと思います。
「富、名声、美貌」の欲求があなたを不安に陥れる
今までの研究結果から、
お金はあくまでも手段であって、
特殊な人や生活困窮のような状態の人を除いて
お金=幸せ(感)ではないということは
ほぼ断言できそうです。
例えば「人を伸ばす力」(エドワード・デシ著)によれば
人間を動かす欲求には2種類、外発的欲求と
内発的欲求があると指摘しています。
外発的欲求とは「富、名声、美貌」のこと。
内発的欲求とは「(個人的)人間関係、社会貢献、自己成長」
のことです。
研究によると、「富、名声、美貌」に代表される
外発的欲求を強く持ってしまうと、
たとえ成功していようと、精神的な不安定さが
もたらされてしまうということです。
当然、成功してもそんな状況ですから、
富、名声、美貌が陰りを見せた途端に
非常に大きな不安にかられます。
外発的欲求とは、つまり
「他人からどう見られているかを気にすること」
です。
そしてこれは、自分では
容易にコントロールできません。
これが外発的欲求の大きな問題点です。
加えて、これらの欲求を満たすためには
非常に(余計な)コストがかかるという点も問題です。
不安になるから、さらにお金をかけて
名声や美貌を維持しようとする。
悪循環ですよね。
一方「人間関係、社会貢献、自己成長」といった
内発的欲求はそれ自体が
精神の安定と充足感をもたらします。
人間関係は多少複雑ではあるものの、
自らが選択した人間関係であれば
それは内発的です。
また社会貢献の場合、貢献して
悪い評価が得られることはほとんどありません。
ですから貢献しようと思うか思わないかが
重要になります。
自己成長に至っては、完全に主観的です。
ですから「内発的」なんですね。
これらは、そんなにお金がかかることではありませんし、
むしろお金が入ってくる場合もあります。
社会貢献と言ってもボランティアだけでなく、
きちんとお金を頂いて活動することも
社会貢献の範疇でしょう。
つまり、内発的欲求の収支で見ると、
それほどお金がかかるわけではなく、
むしろ収入が増すことすらあります。
当たり前ですがお金は大切です。が…
だからといって、お金がなくて良いのかというと
決してそんなことはありません。
お金を増やすことで幸せ感は増えないけど、
お金が不足すると余計な苦労や
不安、不満を生み出します。
ですから絶対的に不足している場合は、
やはり増やしていく必要もあります。
また将来そうした困った状況に陥らないようにするために
前もってライフプランでシミュレーションしておくことも
大切かと思います。
ただ、この不足するという感覚は
非常に気をつけないといけないところで
先の例のように「富、名声、美貌」などに
固執していると生活コストが青天井になっていきます。
そうすると、どれだけお金があろうと
「不足感」が出てくるので、苦労や
「不幸感」の原因となってしまうんですね。
例えばダブルインカムで世帯収入は多いのに
なぜか満たされないし、不安も解消されない
というのが典型的な症状です。
これを根本から解決するにはどうしたらいいか?
一つの結論は「富、名声、美貌」のこだわりを捨て
そこから離れることです。
つまり、他人からどう見られるのか?
などという自分ではなかなかコントロールできないことから
徐々に離れることです。
もちろん、人間は0か1かではないので、
完璧に離れることはムリかと思います。
それができるのは多分、
修行で鍛えた人ぐらいかと。笑
僕みたいに普通の人は、
まぁ多少の富や名声を夢見ても
いいんじゃないかと思います。
でも軸足はきちんと
「人間関係、社会貢献、自己成長」
に置いておくこと。
これが大切だと思いますね。
例えば自己成長の結果として、
お金が増えていくことは嬉しいことですし、
何ら問題ないと思います。
それは結果としてそうなっただけであって、
あくまでも目的は自己の成長ですからね。
人間関係にあってもそうです。
例えば仕事一辺倒で、
家族を顧みなければどうなるか?
たしかに昇進して給料が増え、
お金は増えるでしょう。
でもその結果、親しい人との
関係がギスギスしてくるのであれば
幸福感が増すことには
残念ながらつながりません。
友人関係にしても、同じことです。
まぁもちろん、これは個人の勝手なんですが、
少なくとも幸せ感が欲しいといいながら、
真逆のことをやっていたらその欲求はいつまで経っても
充足されず、不平や不満の檻から逃れられません。
仕事一筋だった人が、
突然やめてボランティア(社会貢献)へ
向かったりするのも、こうした心の力学が
働いているからだと思われます。
お金はなんのためにあるのか?
もう一度問いますが、
「あなたにとって、お金は
なんのためにあるんでしょうか」
お金というのはあくまでも決済の手段であったり、
価値を保存する道具に過ぎません。
エドワード・デシが指摘するように、
富、名声、美貌というのは外発的であり、
それ自体コントロールが効きません。
だからそれに依存するのは非常に危険なんですね。
でも人間関係、社会貢献、自己成長に軸足を移せば、
それは内発的な欲求であり、
それ自体が生きる目的になりうるので
質の高い充足感と幸せ感が得られます。
だからお金というのは、
そうした内発的な欲求を満たすための
道具として使えば良いんだと思います。
- 大切な友達やパートナーとご飯を食べに行く。
- 社会に役立つ活動をしてみる。
- 新しいスキルを身に付けたり、学びを深める。
どれもそんなにお金がかかりませんし、
むしろ新たな収入につながる可能性すらあります。
お金という「媒体」を上手に
使えるようになるといいですね。
さて、冒頭のスカイラインGTRのドライバー。
非常に紳士的で、社会的な存在なのだと感じました。
富や名声の象徴としてGTRをひけらかすのではなく、
自己を社会的な存在だと意識し、自己成長の結果として
個人の自由としてGTRを所有していることは
とても素敵なことなんじゃないかと思いますね。
またそれは、
その人の行動や発言をよく観察すれば
分かることではないかとも思います。
決して「持ち物」や「資産残高」で分かるような
ことではないでしょう。