大成功のWeb3時代のNFTクラウドファンディング、その裏にある課題とは?

こんにちは。林です。

11月5日の12時、NFTの仕組みを使ったアニメ制作に向けたクラウドファンディング(以下クラファン)が実施されました。結論から言うと、クラファン自体はわずかなトラブルを除き、1分で2000万円分のNFTを完売させるという、大成功を収めました。

しかしその一方で、参加者の「体験価値の提供」には課題が残る結果となりました。その裏側を、分析してみます。もちろん批判ではなく、今後のさらなる改善に期待を込めて。

※本記事ではWLをALと表記しています。

NFTクラウドファンディングとは

今回11月5日に行われたクラファンの詳細はこちらになります。

冒頭のとおり、今回のクラファンは大成功でした。

クラファンの仕組みは「パスポートNFT」と呼ばれる、譲渡(転売)できないNFT1枚と、追加で「手裏剣NFT」を購入し、それをステーキングすることでパスポートNFTの見た目やユーティリティが変化していくというものです。これらパスポートNFTや手裏剣NFTの売上が、運営収入=クラファンに集まるお金となります。

このクラファンがなぜ画期的なのか、事業者側のメリットや今回の仕組みの優位点などはwreckさんのこちらのツイートにすごく分かりやすくまとめられていますので、参考にしてください。

事前に参加したい人を募集するAL制を取っており、パスポートNFTはAL保有者はもれなく購入可能。手裏剣NFTは任意のため、10000枚が用意されて売り切れるまで販売するという条件でした。

今回、わずかですがトラブルがありました。手裏剣NFTは購入せず、パスポートNFTだけを所有して応援するという形もあるのですが、当日はパスポートNFTと手裏剣NFTの両方を同時に買う仕様となっていました。そのため、手裏剣NFTが1分で売り切れてしまうという状況下で、パスポートNFTすら買えない事態に陥ってしまいました。しかしこのトラブルは翌日には修正するとアナウンスされています。

しかしながら全体の成功に比べれば、このトラブルなどほんの些細なことでしょう。

世界初の野心的な試みが、ごくわずかなトラブルのみで終了した事自体、奇跡的だと思います。前例のある試みですら何度もトラブルを起こす某企業もあるほど、業界が未成熟なことを踏まえれば、この結果は驚くべき快挙だったといえるでしょう。

前代未聞のNFTクラファンに生じた、新たな課題とはなにか?

NFTクラファンという、世界初の画期的な仕組みが大成功を収め、一見なんの死角もないように見えます。この大成功の裏に、どんな課題が残ったというのでしょうか。

結論から言えば、体験価値の提供に課題が残る結果となったと個人的に感じています。僕個人的な感情を吐露させてもらえるなら、僕もALリストに入っていた一人です。そのため、開始30分前からワクワクした気持ちで待機していましたが、結局、パスポートNFTも手裏剣NFTも買えないという残念な結果となってしまいました。つまり、期待した体験価値とは逆の体験をしてしまったのです。

その結果、参加できなかった人たちが #応援させろ のハッシュタグを付けて多数ツイートして、一時トレンド入りまでしました。

一体何が起きたというのでしょうか。

ムーブメントの経緯をまとめますと

  • 早押しではなく、まず売り切れることはないだろうという運営のアナウンスとは真逆の、競争率の高い早押し争奪戦となった。
  • 事前にAL登録していた人のみが参加できるプライベートセールという位置づけだったにも関わらず、とんでもない早押し争奪となったことも期待したものとは逆の体験となってしまった。
  • 早押しに負け、NFTを購入できなかった人が #応援させろ のハッシュタグでその思い(主に不満)を次々にツイート。その結果、#応援させろ がトレンドになるムーブメントとなった。

何が問題だったのでしょうか。以下はあくまでも個人的な分析です。決して批判ではなく、あくまでも今後前向きに解決していくための体験者の生の声として、検討材料の一助としてもらえれば嬉しく思います。

そもそもクラファンに求められる価値とはなにか?

まず全ての投資や寄付は、そのリターンが求められるはずです。リターンには実利や実益のような客観的なものだけでなく、体験や自己満足、自己実現など主観的なものも含まれます。今回のクラファンのリターンはこれら2つの要素が見事に実現されています。

将来の期待利益

  • Utility(特典)
    公式HPで、手裏剣NFTのUtilityが示されています。
    今回特に魅力的なのは、手裏剣50枚の「CNジェネのWL獲得権利(BLACK)」でしょう。100枚のPLATINUMは、発売時には未定だったため、実利は不明でこちらは期待値のみです。
  • 関連NFTへの波及効果
    アニメが成功すればCNやCNPなど関連PJへのプラスへの効果も実利の期待としてあるでしょう。

実利に関して言えば、CNPの大成功を踏まえ、CNジェネのWL獲得権利が、大きな期待利益と受け止められていた可能性が高いです。その証拠に、手裏剣NFTを50枚購入した人が全体の18%に達するなど、非常に多かったようです。

通常のNFTであれば、こうしたコア層(クジラ)は最も少なくなるものですが、25枚以下を抑えて保有割合2位となっています。これはCNジェネのWL獲得権利(実利)への期待の大きさをうかがわせます。

体験価値

実利(金銭的価値)とは言えない価値も、重要です。以下のような体験価値が想像されますが、今回世界初の試みということで、漏れや間違いもあるかもしれません。ご容赦下さい。もしこんな価値もあるよ!というのがあれば、Twitterなどで教えて頂けると嬉しいです。

  • 世界初の全く新しい試みへの参加。人類史上初参加できるというワクワクは、何ものにも代えがたい体験価値。
  • 応援。アニメを成功させたいという気持ちを出資という形で応援できる貴重な機会。
  • 10年後に感謝のNFTが送られる。これは将来時点ではるものの、体験価値として十分期待できる。
  • SBTは応援の証となる。ウォレットアドレスも刻まれる。初期応援者としての証は、これ以上ないぐらい優越感を高めてくれる。
  • これら全てが、ブロックチェーンに永遠に記録される。自身の足跡を永遠かつ証明された形で残せる、従来にはないプライスレスな体験だ。

こうしたリターンのうち、実利について形は違えど従来のクラファンにも多かれ少なかれ存在しました。なので、今回のNFTクラファンが大成功した理由は期待利益が強烈だったか、体験価値が強烈だったか、あるいはその両方だったと解釈できそうです。

実利への期待の一方で、世界初の体験価値も強烈です。今回はおそらく両方が作用し、相乗効果を発生させたと思われます。特に体験価値についてはNFTクラファン特有のもので、従来のクラファンとは決定的に異なる部分になります。

高い期待値からの喪失感

このような高い期待がありながら、初回販売では、事前に登録したAL保有者約2000人超に比べて、実際に手裏剣を購入できた人が246人(運営含む)と、わずかに1割強、十倍近い競争率となりました。僕も、この246人に入れなかった一人です。

つまり、多くの人の期待値が高まっていた中、それを得ることができなかった「期待の喪失感」のエネルギーが半端なかったと言えるでしょう。

特に体験価値の喪失は半端ないです。ブロックチェーンには、参加されたことが証明され、永遠に記録されます。それは裏を返せば、参加できなかったことも、永遠に証明されてしまうのです。Crypto Ninjaを強く応援したい僕個人はもちろん、ヘビーなファンの方が、他のCrypto Ninjaを知らない人たちと同じとみなされてしまうのです。

この思いは、同じく今回のクラファンに参加され、そして買えなかったしらすさんもツイートにしたためています。

わかる…分かります!その気持ち。

この喪失感、こころのもやもや感は半端ないです。パスポートNFTは買えるのでその点でやや心を持ち直せますが、それでも手裏剣で大いに応援する人との差は大きい。

おそらくこの期待の喪失感が、今回の #応援させろ の強いモチベーションに発展したものと想像できます。

ただ、逆にAL保有者のリテラシの高さ、意識の高さに助けられた面もあるかもしれません。 #応援させろ からは、ALに登録しても参加できなかった人たちの負の感情までをもイベントとして楽しもうという、たくましさも垣間見えてきます。

私達は決してネガティブなわけではないのです。

単に応援したいだけなのです!

応援させて。

参加者視点からの改善(?)案

さて、以下僭越ながら個人的に考える今後の改善案を提示してみたいと思います。改善案は、まったく不完全です。ですがWeb3クラファンの、よりよい未来に向けて、議論の一助にでもなれば幸いです。

募集プロセスの改善

体験価値は、物語やプロセスが極めて大事だと個人的には思っています。したがって、改善するのであればクラファン開始までのプロセスを改善するのが第一と考えます。

どう改善すべきか、具体的には僕にはまだ思い浮かびません。なにせ、事例は今回ただ一つしかなく、今後試行錯誤を重ねるしかないと思われます。

一つ明らかに言えるのは、今回の課題は「大きな期待からの喪失感」ですので、事前の期待値を上げすぎないのが鍵になると思います。とはいえ、クラファン運営側としては無事資金調達を完了したいわけですから、ある程度期待値を上げざるを得ません。さじ加減が非常に難しいですね。

今後も難しい舵取りになる可能性があります。

需供バランスの改善

需要に対して、適切な量の手裏剣を用意できれば、問題はありませんでした。WL制にしているので、今回の結果を踏まえて次回以降はある程度需要を予測できると思われます。

とはいえ、クラファンはお金をたくさん集めればいいというものではありません。実現したいものに対する予算があり、それを大幅に越えてもお金を有効利用できなくなります。したがって、必然的に供給は限られます。

現実的には、需給を正常にするために事前のALを絞ることになると思われます。となれば今度はAL争奪戦が始まります。これもまた、やっかいな問題です。

すいません、全然改善策の提案になってませんね…。正直、新しすぎて何をどうしたらいいのかわかってない部分も大きいです。

あるいはこの問題は、本質的なのかもしれません。ベンチャー投資などでも、投資したいけど投資できないという事態はよくあるとのことですので、それがWeb3で表面化したとも言えそうです。

まとめ

繰り返しになりますが、世界初の試みを大成功で終わらせた運営の手腕は見事でした。どうみても、快挙としか言えません。しかしながら大成功であったがゆえの、参加できなかった人の反動としての喪失感が大きかったとも言えます。

供給が限られている以上、仕方がないとはいえ、非常に難しい問題ですね。参加したくても参加できない人が、どうしてもでてしまいます。

Web3の世界では、たとえお金持ちでも応援に参加できない場合もありえます。仮にお金持ちを優遇するとブロックチェーンで丸バレになるので、運営としてもそれは難しくなります。Web3以前の世界では、お金持ち優遇は普通に行われていたことを踏まえると、Web3の「民主化」が際立つ仕組みだとも言えます。

門は等しく開かれる。しかしその門は極めて狭い。

体験価値が貴重になる時代がやって来たのかもしれません。

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