安定志向の方へ。組織が安定すると、リターンは必然的に減り、不安になります。

「全ては投資である」

こういうと、ちょっと胡散臭く感じるかもしれませんね。
ですが、投資的思考を身につけると、
人よりも本質に近づくことができるようになります。

ちょっとピンと来ない人のために、
身近な「会社」で考えてみましょう。

これをお読みのあなたも、
もしかしたらサラリーマンかもしれません。

そういう僕も、15年間、大企業の社員でした。

会社組織って、一体なんなの?

会社は、従業員から見れば

「労働力」を投入して、
「給与」という毎月配当を受けるための仕組み、

のように見えます。

しかしその「配当の原資」は
ビジネスという投資への資本投入による、
投資のリターンに他なりません。

どこか神秘的な場所から
お金が湧いて出てるわけではないというのは
いい年の大人なら誰でも分かることでしょう。

結局、会社組織というのは
中の人から見れば

「共済型の投資組合」

と言い換えても構わないものです。
(ただし法的な投資組合とは今回は切り離して考えてください)

共済人数が多く、つまり大企業になっていけば
それだけリスクを多人数で分散負担しますから、
配当(給与)は安定していきます。

その代わり、リターン(給与)は一般に減っていきます。
リスクが減るとリターンも減るのが投資の原則だからです。

そして決して忘れてはならないのは、
安定しているからといって、リスクが無くなったわけではない
ということ。

ビジネスであれなんであれ、投資がリスクをはらむ以上、
配当原資が下ぶれするリスクは必ずあります。
(大きく下ぶれしたとき、それは「経営危機」と言います)

配当原資が下ぶれした場合は、
当たり前ですが実際の配当(給与)も少なくするのが
経営にとって最もシンプルかつ合理的な判断です。

この事実をもう少し深く理解するために
一つの矛盾について考察しておこうと思います。

ベアを要求すればするほど、自分たちの首が締まる現実

会社組織が「投資組合」だということを理解せずにいると
ずれた主張をしてしまうことがあります。

その最も大きく、最もマトはずれなモノが
「ベースアップ(ベア)の要求」です。

世間ではベアを勝ち取ったら労働者層の勝利だ!
という誤解がまかり通っています。

しかし会社が投資組合だという事実を理解しているなら、
これが如何に意味不明なものかを
同時に理解することができるでしょう。

当然僕も、ブルジョアジーやプロレタリア層がいた
19世紀のイギリスを無視するものではありません。

ですから、「賃金を上げる要求」というのは
正当な権利として認めていいと思います。

…?

いったいなにを言っているのかって?

鋭い人ならもうお気づきと思いますが、

賃金上昇要求は、常に
「ボーナス(一時金)の上昇要求」
にすべきだ、ということです。

だって、会社は投資組合なんですから。

過去のビジネス投資に大きな成果があれば、
それを社員に還元するのは当たり前。

でも、投資だから未来はどうなるか分からない。
だから将来にわたっての「ベア」要求は不合理。

ということです。

ベアをすればするほど、経営者や株主からみると
定常的な経営コストが増えます。
コストが増えて会社に利益が出なくなってしまえば、
最悪、会社をたたむことになりかねません。

これは回りまわって従業員の利益にもならないでしょう。

例えば、米GMの年金問題などが分かりやすい例です。

GMの場合は年金ですが、恒常的なコスト上昇が
会社に大きなダメージを与えたという点で同じです。

ベア要求というのは投資を理解出来ていなかった
(あるいは投資を理解する必要がなかった高度成長時代の)
過去の旧態依然とした制度であって、
既に機能しなくなって久しいというのは
投資云々を別にしたとしても、肌感覚で理解できるはずです。

「ベアが無ければ、安心して住宅ローンも組めないじゃないか!」

という批判もあるかもしれません。

ちょっと脇道にそれますが、
僕はこの問題をベアで解決するのはよくないと考えていて
鍵は資本家側にもあるのではないかと思います。
例えば日本の銀行は
ノンリコースローンを組「め」ませんが
米国ではノンリコースローンが普通に利用されているようです。

ローンの組み方一つとっても、
日本のリスクサイドへの技量がまだまだ低い、
ということがよく分かります。

もう一つの批判としてベアが無ければインフレに対応できない
というのもあると思います。

一見、合理的な主張のように見えますが、その主張を通したいなら
デフレ時も同じく対応しなければなりません。

つまり、デフレ時は経営者側からの「ベースダウン(ベダ?)」
要求に、労組側が応じないといけない、ということです。

デフレを棚にあげてインフレだけ持ち出すのは
単なるご都合主義といえるでしょう。

失われた20年はデフレの時代でしたが、
その間、各労組はどうしていたかというと…

…これぐらいでヤメておきましょう(笑)

ちなみに、経済原理からいえばデフレ時の賃金低下は避けられません。
日本のデフレは、賞与の低下に加え、リストラと低賃金就労者(いわゆる派遣)の増加という
やや劇的な形で進行しました。

もし、日本にベースダウンという制度があったなら
もっと違った形になっていたかも知れません。

僕も長いこと勤めてましたので
ベースダウンが会社文化的に難しいことも、同時に理解できますが。

さて、
ベアばかり批判しているとまるで従業員が悪いみたいに誤解されるので、
バランスを取るために、経営者側についても
課題を指摘しておきましょう。

こんな経営者について行ってはいけない!?

もし、ベアはしない、一時金の成果報酬型で行くと決めたなら、
経営者のリスクはかなり軽減されます。

経営者のリスクを軽減したら、
経営者のリターンも減らさなければなりません。

投資ですから、当たり前ですね?

リスクは減らすが、リターンはそのままくれ!
では、上述のベア要求と同じぐらい意味不明です。

したがって、この場合経営者は

  • 従業員や株主への還元策

を真剣に検討すべきでしょう。

株主には当然、株価上昇という形で
還元することができます。

オーナー経営者であれば、成果主義が
合理的な選択ということになります。
(個人の成果主義ではなく、全体成果主義)

一方で従業員への還元は、
従業員の解雇リスクを低減させたり、
福祉を向上させるというのがいいかもしれません。

成果主義というリスクを負わせている分、
解雇リスクが低いというのは
一般的なイメージと異なる部分で面白いですよね。

当然、できるだけ解雇しない方が
企業にとってもプラスになります。

また経営危機時は配当(給与)が減りますが、
企業福祉を活用して乗り切ることができれば
従業員のロイヤリティも高まるかも知れません。

もちろんどんな還元をするかは経営者の自由。

ただし、リスク管理と適切な還元のできない経営者は
経営に向いていないと思います。

こんな経営者が上にいるなら、
転職を真剣に検討されるか、
自らが経営者となって会社を改革するか
生き残る道はいずれかしかありません。

投資は人生に通じる

今回、「会社組織」という身近な例で投資の本質に迫ってみました。

やみくもに投資を批判したり
拒絶反応を示したりする方もいますが、
投資から目をそらしても残念ながら本質は見えてきません。

むしろ本質から遠ざかることで
あなたの人生が不必要なリスクにさらされてしまい
右往左往してしまう危険性すらあるでしょう。

今回は会社を例にお話しましたが、
もちろん会社だけに限った話ではありません。

「自分の時間を投資する」といった広い意味まで含めれば、
投資というのは人生の本質です。

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