「人生100年時代構想会議」で日本人が最も身につけるべきこと。

人生100年構想会議(首相官邸)
というのが、始まったみたいですね。

政府が主導して長期構想を練るのは
非常に良いことだと思います。
目の前の課題も大事ですが、本来、
こういう長期的な課題に向き合うのが
政府、国家の役目だと思うので。

僕もFPという仕事柄、
思うところがあるので
少し書いてみました。

なぜ、人生100年なのか

人生100年ということが言われ始めたのは
ここ1年ぐらいだと思います。

その火付け役になったのが上記
人生100年構想会議にも招聘された
リンダ・グラットンさん。

ロンドンビジネススクールの教授であり、
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)という
ベストセラー著者でもあります。

このライフ・シフトが今から1年ぐらい前に発刊され、
それで

「おい、長寿社会って言われてるけど、
ホンマに100年生きるらしいで!?」

となったわけです。

よく言われるのが、今7歳ぐらいの子供は
100歳以上生きる確率が50%以上ある、
というようなことですね。

詳しくは「ライフ・シフト」に書かれていますので、
是非一度読んでください。

以下、イチFPの意見に過ぎませんが
参考になることもあるかもしれません。

人生100年時代では、とにかく計画が大事

人生100年と一言でいいますけど、
これ、めちゃくちゃ大変です。

例えば今の社会では60歳で定年退職して
65歳から老齢年金をもらって、
というのが標準プランになっています。

でも100歳以上生きる場合、
65歳から35年もあるわけですよね。

35年って、現役世代レベルの長さで、
その間ずっと年金と貯蓄だけで生きているかと言われると
はなはだ心配なわけです。

じゃぁ、65歳とか、いやいや70歳まで働こうかとか、
夫婦なら共働きして老後資金をしっかり準備しようかとか、
そういう議論に必然的になっていくわけです。

しかも働く期間が長くなる上に、
世の中の進歩のスピードもどんどん早くなっていきます。

となると、40年、50年の現役期間が当たり前になるのに
もはやたったひとつの職業や、たったひとつのスキルだけで
働き続けるという前提条件自体が破綻していくことになります。

だって、今やっている仕事が、20年後には
消滅しているかもしれませんから(苦笑)。

したがって一人の人間が、長い現役世代の間で
複数のスキルを磨きながら2度、3度と職を変えるのが
当たり前になるだろうということです。

(現役の勤労世代が新しいスキルを磨くための教育を
リカレント教育といいます)

まぁ、参考になるかどうか分かりませんが、
実際僕がそんな感じです(笑)

全く関係のない製造業から独立して
今こんな仕事してますからね。

そのような状況にある中で、
100年もの人生を生き抜くのに
無計画で場当たり的に対処して
対処しきれるものではありません。

もちろん、計画を立てても、
計画通りいかないことなんてたくさんあります。

特に若いうちは、「可能性だけが存在する」
状態なので、計画を立てようにも
立てられないかもしれません。

だからといって無計画がいい、
というわけでは決してない。

例えば「地図」にしても、道路や地形が変われば
地図もそれに合わせて更新しないといけません。

でもだからといって「地図なんていらない」
とはならないのと同じです。

いつか更新や変更しなくてはいけないと分かっていても、
あればやはり便利で役に立つからです。

すこし人生が落ち着いてくる
30代、40代ぐらいからしっかりと計画的、
戦略的に人生を見据えることをお勧めします。

結局それが、「ライフプラン」
ということなんですけどね。

投資も100年単位でやればいいんじゃない?

その計画の一部に「投資」があります。

今年からiDeCoが始まりました。

原則、全ての現役世代が使える制度ですので、
まさに長期投資の器として申し分無しです。

強いて言えばiDeCoは60歳までしか
拠出(お金を出す)できないので、
人生100年時代の受け皿としては
少々短いかもしれません。

これを65歳、70歳まで延長できるよう、
制度改定されることを期待します。

(企業型DCは既に65歳までOKなんですけどね)

ちょっと脇道にそれましたが、
さらに来年から「つみたてNISA」が始まるので
長期的な投資環境が拡充することになります。

こういう時代の流れを見て、
あなたはどうお感じでしょうか?

人生が長くなれば、
それだけより多くのコストがかかりますから
今まで以上に備える必要があります。

もちろん、投資のスタイルは様々でしょうけど、
より長期的、計画的な視野で投資を続けることが
できるようになってきていますし、また、
そうしないと老後の資金を準備するのも
厳しい人が増えてくる、ということでしょう。

こうした状況を見据え、たとえば僕は、
子供のときから少しずつ積み立てて、
それが50年、100年経ったらどうなるか?

という実験を始めています。

そう。
ジュニアNISAです。

僕の子供たちのジュニアNISA口座を開き
少しずつ、積み立てを始めています。

額は決して、大きくなくて良いんです。

それよりも、子供たちが成人した時に

「これはあなたたちの投資口座です。
あなたたちが生まれたぐらいの時から始めていますが、
今、これだけの金額になっています」

といって見せれば、
良い投資教育になるかもしれません。

ただ、その後も投資を継続してくれるかどうかは、
子供が僕の意志を受け継いでくれるかどうかに
かかっていますが…(?)

子供へのお金の教育も含めて、
FPとしての技量が問われそうですね(笑)

さて、どうなるか。

ま、失敗したところで痛くも痒くもありませんから、
(最初に戻るだけですから)
将来の結果を楽しみにしています。

こういうことも、将来を見据えた
「計画」ですよね。

失敗するかもしれませんので、
「チャレンジ」でもあります。

「ライフ・シフト」に書かれていない、日本人に一番必要なこと

最後にこれだけは指摘しておきたいと思います。

ライフシフトは非常に良い本ですが、
どうしても視点が欧米です。

ライフシフトに欠けている視点、
それはチャレンジと、ポジティブさの涵養です。

これは別に、ライフシフトが保守的な本だと
言っているわけではありません。

むしろ、超チャレンジングな本なのですが、
なんとなく「日本よりかなり進んだ世界観を前提に」
書かれている雰囲気があります。

欧米でも保守的な人は当然多いようですが、
労働環境などは日本よりも流動的ですし、
女性の労働参加率も高い。

ですので、一つの人生で「二毛作、三毛作しましょう」
と言われたら、それなりに付いていけそうな
気持ちになれるかもしれません。

しかし日本ではまだまだそんな環境からは程遠いです。

今だに転職するよりも一つの企業に勤め上げることを
美徳と考えている人は多いでしょうし、
女性の労働参加率を見ても
先進国の中でワースト3に入っています。

つまり、男性が、一つの企業で、
勤め上げることを良しとする、
古き良き職業観念が、この昭和が終わって
30年経とうという今でも続いている。

それが日本という国です。

このような環境に浸りきった日本人に、
どんどん新しいスキルを身に着けましょう、
どんどん職を変えてポジティブに働きましょう
と言ってもなかなかピンと来ないのではないでしょうか。

でも、時代は否応なく進みます。

僕みたいな生き方は少々ラディカルかもしれませんが、
普通に転職したり、女性が男性を養う世帯が増えたりしても
なんら驚くことではなくなってきます。

既に変化の兆しは、あります。

「フリーター」と呼ばれる人達が増え、
個人で多様な働き方をする人が
ジワジワと増えています。

また近年、空いた時間で「副業解禁」する企業も
増えてきました。

このような動きから、
既にライフ・シフト、ワーク・シフトに向けた
世の中の準備が着々と進んでいるとも考えられます。

少なくとも私達の子供の世代は、
そうした「多様性のある働き方、人生」が当たり前になるわけですから
保守的な考えを持った大人だとしても
それを子供らに押し付けるわけにはいきません。

「あなた達は、高校を卒業したら立派な大学に進学し、
その後就職活動をして(大手)企業に就職し、
60歳定年まで勤め上げたら安泰だから、そうしなさい」

などということは、もう教える必要が
ないばかりか、そのような考えに固執することは
有害ですらあります。

(仮に教えるとしても
一例としてそういう生き方も無くはない、
というぐらいでしょうか)

ちなみに僕は、
子供たちにそのようなことを教えたことは一度もなく、
あろうことか自宅で自由に働く姿すら 
見せています…

大学なんて、行きたきゃ行けば良いんじゃない?
仕事なんて、自分で自由に見つけなさい、
Youtuber?やりたいならやってみれば?
ぐらいのノリですからね。

誤解の無いように加えておくと、
どんな世代でも学ぶ必要は当然あります。

ただ、大人が無理やり子供をレールに乗せても
これからの時代ほとんど意味をなさないだろう、
ということです。

ちょっと脇道にそれましたが、
多分、これから子供に教えるべき
最も大切なことがあるとしたら
それは「チャレンジ精神」です。

前向きに、チャレンジする精神を忘れなければ、
どんなに人生が長くとも、
どんなに困難な状況に陥ったとしても、
彼ら自身でなにか打開策を見出しながら
たくましく生きていけることでしょう。

今の日本人に一番足りないのが、
チャレンジすることだと
僕は考えています。

そして子供にチャレンジ精神を教えたいなら、
まず大人がそうあるべきだというのは
言うまでもないことです。

ps.

冒頭の「ライフ・シフト」は非常によい本ですので、
まだの方はぜひ一度読んでみてください。

細かいことですが、本を買うなら
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