買う人も、買わない人も。LINE上場(IPO)について、ちょっと分析してみました。
LINEは僕も毎日使っていて、
(家族との連絡だけですが)
かなり日常に溶け込んだ感がある
サービスですよね。
そんなLINEがいよいよ
東証、NYSE(ニューヨーク証券取引所)
にそれぞれ同時に上場することになったのは
既にニュースでご存知だと思います。
IPOに応募しようか悩んでいる人はもちろん、
そんなの関係ないね、と決め込んでいる人も、
実は買うことになるかもしれませんよ。
LINE株式公開(IPO)の概要
韓国ネイバー社の日本子会社として発足、
電話番号さえ知っていれば簡単につながる
無料通話アプリLINEが大ヒットして、
今では社名がLINE株式会社となっている
という経歴を持つ会社です。
あまりにも簡単に友達とつながるので
「電話番号がLINEにマルバレになる!」
「個人情報が全部ぶっこ抜かれる!」
と警戒されたほどです。
(裏を返せば、それぐらい大ヒットしたということですね)
最近でも、某有名人のLINEの内容が流出したりと
日本国内では話題に事欠きません。
そんなLINEが今回、東証とNYSEに上場して資金調達を行い、
その資金を元にさらに事業を拡大すると見られています。
LINE株式の公開(IPO)情報はこちら。
- ブックビル期間 6/28 0:00~7/8 11:00
- 上場日 7/15
- 総公募株数35,000,000株(うち国内公募株数13,000,000株)
- オーバーアロットメントによる総売出株数5,250,000株(うち国内売出株数1,950,000株)
- 国内発行決議日 6/10
- 国内売出価格決定日(抽選日) 7/11
- 市場は7/15より東証1部または2部を予定。
(SBI証券の公開情報より)
上記オーバーアロットメントというのは聞き慣れないかもしれませんが、
要は予想以上の応募があった場合に、追加で売り出す株のことです。
(その追加の株式はオプション付きで借りてくるので、
公開後の株価を安定させる効果があります。
…が、詳しく理解できなくても特に問題ありません。)
総公募株数も3500万株と、ケタ違いですね。
米国と日本の同時上場ということで
話題性はこれ以上無いぐらい、抜群です。
ただ、IPOの目論見書を拝見すると、
気がかりな点もあります。
例えば、会社の成長に大きな影響を与える
「アクティブユーザー数(MAU)」ですが、
2014年3月から2015年3月の1年間が129%の伸びに対し
次の2015年3月から2016年3月の1年間は103%の伸びと、
この1年で伸び率がかなり鈍化しています。
内訳を詳しくみると、
日本、台湾、タイ、インドネシアとユーザー数の多い主要国では
引き続き伸びてはいるものの、その他の地域では-19%と
むしろユーザー数が減少しています。
国内では話題性抜群のLINEも、世界に目を向けてみると
意外と盛り上がっているのは4カ国だけで、
他の国ではそれほどでもない、という現状が
浮かび上がってきます。
今回、東証、NYSEと同時上場することで知名度を上げ、
主要国での伸びを加速し、その他の地域の減少を食い止め、
さらに増加させることができるかどうかがポイントになるでしょう。
今回の上場で成長が加速する!と考えるなら買いでしょうし、
それほどではないなと考えるなら、様子見というのが
投資判断の材料になるでしょうね。
LINE株は買うべきか、買わざるべきか?
資金調達額は最大30億ドル(約3000億円)と言われており、
単純に公募株数で割ると1株あたり約8,600円。
公募は100株からですから、約86万円の
資金が必要という計算になります。
もちろんご判断はお任せしますが、
買うなら、「お遊び程度」で買うのが
いいと思います。
この86万円がお遊びといえるかどうかは
人によって異なるとは思いますが、
ちょっと荷が重いな、と感じるなら、
やめておいたほうが良いでしょう。
(僕個人も、正直、単一銘柄でこの値段は荷が重く感じます)
IPO投資する場合は上場日の初値で売ってしまい、
公募価格との差額で稼ぐ方法もありますが、
これもあくまでギャンブルですので、
やけどはしない程度だと思えるなら、
やってもいいかもしれない、というレベルです。
興味のある人は、取引のある証券会社から
目論見書等を取り寄せてみて下さい。
投資をする、しないに関わらず、
目論見書は面白いので、一度ご覧ください。
(LINEのキャラクターがいっぱい出てきて、楽しいですよ)
買えない人は、指をくわえて待つしか無いのか?
さて、LINE株を買えない人は、
このお祭り騒ぎを指をくわえて
眺めるしか無いのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。
もしあなたがTOPIX指数連動の
ETFや投資信託に投資しているなら、
いずれ「自動的」にLINE株にも
投資することになるでしょう。
さて、これはどういうことでしょうか。
TOPIX指数というのは、ざっくりいえば
東証1部上場株式全体の時価総額平均です。
要は、東証1部のお金の価値がどれぐらいあるかを
指数化したものと思って下さい。
もしLINE株が東証1部に上場すれば、
当然、東証1部の時価総額が増えますので、
TOPIX指数にも反映されます。
これは既にルール化されていて、
東証1部に新規上場した銘柄は、
上場日の翌月末にTOPIXへ
追加されることになっています。
つまり、TOPIXへ投資することで
あなたはなにもすることなく、LINE株へも
「自動的」に事実上投資することになるわけですね。
「事実上」といったのは、実際には投資信託が
東証1部の全銘柄を保有しているわけではなく、
指数への連動性が高い銘柄を「選別」して
保有していることが多いからです。
ですので、TOPIX投信を購入したとしても
実際にはLINE株は保有できないかもしれません。
ですが、TOPIX連動型であれば
今後もTOPIXに追従してくれるでしょうから、
TOPIXに含まれるLINE株上昇の果実も
間接的に受けることが可能だと言えるでしょう。
ですので、LINE株が買えないからと言って、
焦る必要なんて全くないわけですね。
何もしないのに自動的に話題の銘柄を
事実上保有するって、なんだか、かっこよくないですか?
あくまでも間接的に、かもしれませんが、
なにもしなくても時流に乗れる仕組みは、
とてもスマートに見えます。
逆に、LINE株を保有したくなくても、
大なり小なりその影響は受けてしまいますから
強制的に買わされるという側面もあります。
これが、パッシブ(受け身の)投資と言われる
理由ですね。
では、LINEを個別に買う意味はないのか?
もちろん、TOPIX投資信託の場合、
個別銘柄の株主権利はもらえません。
たとえ投信がLINE株を多数保有していたとしても、
LINEの株主総会に参加したり、
議決権を行使したりすることはできないのです。
(これは僕は本来おかしいと思っていますが、
単位株未満の株主権利の扱いは実務上難しいですし、
だからこそ、インデックス投信は低コストだとも言えます)
だから、LINE株の議決権を行使したい!
と考えるなら、やはりLINE株を購入する必要があります。
しかし、そこまでは必要なくて、
ただLINE株の上昇には乗っかりたい!
というのであれば、指数連動でも十分、
可能なのです。
あくまでも長期投資のスタンスに徹するなら、
いくら話題性のあるLINEといえど
個別銘柄のリスクを負うのは適切とは言えませんので、
やはり指数への投資が合理的といえるんでしょうね。
※ 本記事はLINE株式会社のIPOや株式取引、インデックス指数取引を推奨する目的ではありません。あくまでも参考情報としてご覧いただき、実際の売買等の判断は目論見書等をご確認の上、ご自身にてお願いします。