養老保険は検討すべき商品なの?その前に、まずはメリット・デメリットを知ろう。

貯蓄性が高いと言われる養老保険。

満期まで持てば元本が保証されていることもあって
銀行預金の代わりに利用を考えている、という方も
多いかもしれません。

どれぐらいお得なのか、保険であることの良さはなにか、
落とし穴は無いのか?などなど
メリット、デメリットをまとめてみました。

養老保険と実質利回りの試算

満期までは定期保険として、
満期時は満期保険金が受け取れるという保険で
基本的には貯蓄目的が強い保険です。

なお、保険の基本については
保険のかけ過ぎは家計を危うくする?生命保険の情報武装をして家計を守ろう。
でも解説していますので参考にしてください。

さて、貯蓄というからには利回りが出てこなければいけません。

実際、各社の養老保険のページを見ると、「予定利率」
という言葉が出てきます。

ただしこれは実際の利回りとは以下の点で異なります。

  • 保険料のうち、貯蓄保険料にのみかかる利回り
  • 単利になっている

そのため、他の金融商品と比較するためには
支払い額に対する複利回り(実質利回り)を
求める必要があります。

ソニー生命の養老保険の例で計算してみます。
(ネット上で保険料を公開していたため、例としました。)

  • 35歳、男性
  • 保険金額 1000万円
  • 保険期間 20年
  • 保険料払込期間 20年
  • 月払い保険料 39,840円

ソニー生命保険のページより抜粋、数値は2014年11月2日時点)

この例でいくと、月額保険料が39,840円ですから、
年間保険料は478,080円。

これを20年間積み立てたとして20年後に1000万受け取る場合、
複利で年間0.47%の利回りとなります。

これが投資の面だけからみた実質的な利回りとなります。

ただ、20年間の定期保険が付いていますから、
その分を考慮しないと保険会社としては可哀想です。

そこで、保険の分を除いたら、どれぐらいの利回りで
運用されるのかを試算してみます。

「それが予定利率じゃないの?」

と言われそうですが、付加保険料(経費率)がよくわからないため、
予定利率をそのまま鵜呑みにするわけにもいかないのです。

やや乱暴な方法とは思いますが、保険機能を除いたら
定期保険料分が養老保険の保険料から引かれてが安くなる
と考えてみます。

これが、契約者から見た時の実質利回りに近いからです。

安全側で見積もるため、安価な定期保険料、
例えば、ライフネットの定期保険料を採用します。

35歳から20年間、1000万円保証の定期保険の場合
月額保険料は2,385円、年間で28,620円になります。

養老保険料の年額は478,080円から449,460円に
下がりますので、この条件で20年後1000万円受け取るには
利回り1.11%と、前回の0.47%から上昇します。

「なにを言っているの???」

と突っ込まれそうですが、結局、上の養老保険の例は
定期保険をかけながら、別途利回り1.11%で積み立て運用するのと
同様の効果がある、ということです。

ただし、この利回りは
契約年齢、契約時期、契約期間、保険会社等によって変わってきますので
1.11%はあくまでもこの例での試算結果にすぎない、
ということに注意してください。

養老保険のメリットとおもなリスク

保険会社が少しだけリスクをとって運用してくれるのは、
人によっては、ありがたいかもしれません。

また、僕は保険商品の最大のメリットの一つが
節税だと思っていて、養老保険も受け取り時に一時所得となり
特別控除枠50万円のメリットが使えます。
(参考:一時所得とは|国税庁

50万円以下の利益については非課税になりますから、
その分実質的な利回りも向上するわけですね。

これが、養老保険のメリットです。

一方で、養老保険のリスク、デメリットもあります。

  • 途中解約すると、解約返戻金が元本割れすることがある
  • 将来、物価上昇率が上がってインフレ傾向となる場合、インフレ負けする可能性がある
  • 生保会社の経営状態によっては、予定利率が変更となる可能性がある
  • 定期保険が不要な場合、余計なコストを払わされる

「このご時世、1%以上の運用利回りが得られるなら美味しいじゃないか?」

というご意見もあるかと思いますが
すぐに飛びつかず、よくよく検討する必要があります。

結局、どんな人に向いているの?

上の例で言えば、運用部分に関しては利回り1%の
ゼロクーポン債に似ていますね。
(積み立て、という点で大きく異なりますが…)

ということで、

  • 定期保険をかけたい
  • 資産配分上、ゼロクーポン債に類似した安全側の資産を積み上げたい
  • 長期間必要の無い資金がある

条件を満たす人にとっては、
選択肢の一つ、と言えるかもしれません。

ただ、この条件にぴったり合致する人は、それほど多くないのでは?
と思います。

あくまで一般論ですが、例えば若い人の立場で考えると
債券などではなく、株式などのリスク資産を多めに取りたいでしょうから、
養老保険の額は抑える方向となります。

一方で、定期保険としては、若いほど残りの人生が長いので
多めの保証金が必要です。

となれば、養老保険は相反するニーズを
無理やり一つにパッケージ化してしまった商品であり、
検討が難しい商品といえます。

例えていうなら、「いろはす」のペットボトルに
おまけでフィギュアが付いてくる感じでしょうか。

環境にいいことしたいから「いろはす」にしたのに、
余計なフィギュアがついてるから、
環境にいいんだか悪いんだかわかんないよ…

いろはす単体、フィギュア単体は、それぞれいい商品なのに
一緒になってるから、微妙。( ꒪⌓꒪)

っていう感覚でしょうか。

…その例えはだいぶ違うんじゃないか、といわれそうですが(笑)
ペットボトルほど気軽に買える額の商品でもないので、
検討は慎重にしたいところです。

もちろんバッチリハマる人であれば問題ないですが
個人的には保険は保険(それも低価格の定期保険など)
運用は運用と分けて考えるのがやっぱり素直で
イイと思いますね。

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