NISAを贈与対策として活用するのは可能か?
こんにちは。林FP事務所の林です。
ニーサというのは個人の節税対策に使える制度ですが贈与についてはNISA制度を活用することができるのでしょうか。
少し調べてみましたので興味のある人はご覧ください。
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NISAを直接贈与対策として使うことはできない
最初に残念な結論からで申し訳ないのですがニーサを株式贈与による節税対策として使うことは事実上できないと考えて良さそうです。
というのも贈与者から見た時に例えば株式を直接贈与したいと考えましょうその時ぞう医者のニーサ口座にある株式を贈与したい場合は受贈者の取得価格が贈与時の株式の時価となります。
これがどういうことかは株式の贈与について少し知識がないと分かりにくいかもしれませんが要は贈与する時点でニーサ口座の株式が持つ評価損益については生産されてしまいます。
また贈与で受ける株式を NISA 口座に直接受け入れることもできません。
ジュニアNISAへの入金は贈与資金であること
NISAや ジュニア NISA 口座への株式贈与は特にメリットもデメリットもないことがわかりました。
一方でジュニアNISA口座への資金はほとんどの場合が親族等からのお金になるはずです。
であればこの入金が一体どんな目的かが本来問題とされるわけですが、ジュニアNISA口座への入金はそれが贈与であるということを証券会社等が確認するルールになっています。
贈与というのは贈与者と受贈者の契約であり、本来であれば贈与契約書などでしっかり契約すべきですが、ジュニアNISAはゼロ歳から始めることができるので、子の意思確認は現実的に困難な場合があるでしょう。
なので、証券会社が贈与資金であることを確認するルールにして、事実上贈与資金とみなしているのだと考えられます。
株式贈与(異名義移管)にはメリットがある
さて NISA は贈与には使えないにしても株式贈与という手段は検討に値します。
例えば一般贈与であれば暦年の基礎控除というのがあって年間110万円までの贈与が非課税とされています。
現金なら議論の余地がないですが、一口に110万円と言っても、株式の場合はどこを評価するかということで違ってくるわけです。株式を贈与する場合は特別なルールがあって場合によっては有利な贈与ができる制度になっているんですね。
株式を贈与する場合の評価額(株価)は
- 贈与した日の終値
- 贈与した月の終値の平均
- 贈与した前月の終値の平均
- 贈与した前々月の終値の平均
のいずれかから、最も低い株価を選択することができるからです。
例えば一旦大きく下がってまた値を戻した株式や、最近大きく値上がりしているような株式を原資として贈与したい場合、その株式を売却したお金を贈与するよりも、株式をそのまま贈与した方が贈与額が下がって有利になる場合がある、というわけです。
ただし注意点としては株式の評価損益もそのまま贈与されるということです。株式の取得価格は贈与者のものを受贈者が受け継ぐ、というのはこういう意味です。
株式に評価益が出ていればその評価益がそのまま受贈者(もらった人)の評価益となりますし、評価損が出ていれば受贈者の評価損となります。
受贈者が贈与された株式を売却した時に評価益が出ていれば、受贈者がその利益の税金を支払う必要があります。
あるいは贈与された株式に含み損があり、それを売却した場合、受贈者の方で普通に損益通算などもできますから贈与された株式に評価損があれば逆に節税のメリットももらえるわけですね。
株式贈与の方法
では実際に株式贈与する場合の手続きですが、これは証券会社に申請すればOKで、基本的には贈与者側(株式等を出庫する側)が、株式を所有している証券会社等へ手続きを行う形です。
手続きの詳細は各証券会社までお問い合わせを。コールセンターや取引支店などに連絡して、必要書類を送ってもらうのが一般的なようです。
(参考)
名義移管の手数料について確認しましたが、少なくともSBI証券については入出庫とも無料とのことでした。
他の証券会社等を利用される場合は、別途個別に確認してください。
まとめ「相続対策の話題の1つに」
株式贈与は、活用方法次第でいろいろ面白い事ができそうですが、こんなことを書いた背景は僕の親が1年ぐらい前から「お金をあげたい(贈与したい)」といい出したからです。
そんな資産家であるわけではないので、イチFPとしては「いやいや、自分の老後資金を心配しようよ…」とそちらが心配になってしまうわけで、いやそんなのはいらない、と1年ぐらいのらりくらりと先延ばしにしていたのですが、どうやら意思が固いようです。
それならば無理に断るのではなく、むしろ面白い贈与の方法を提案して、話題作りにした方がいいかなと思って調べてみた、というわけ。
退職された方で、株式投資をされている人も多いでしょうから、贈与の意思がある人には今回のネタを話題にしてみるのもいいと思います。
そこから話が発展して、自然と相続や終活の話題になれば、より円満な相続に向けた一歩になりますよね。
そういう活用のしかたも、考えてみてくださいね。