不妊治療で突然の入院!収入減の救世主?-傷病手当金-
こんにちは。岡田のりかです。
不妊治療をはじめると、
思いがけず病気が見つかったり
治療の途中で薬の副作用などで病気になってしまったり
という可能性があります。
もちろん、ないに越したことはないのですが‥。
今日の記事を読んだら、
いざというときのための武器のうちのひとつとして
ぜひ頭の片隅に置いておいてくださいね。
目次(タップでジャンプ)
傷病手当金とは
全国健康保険協会のホームページをみてみると、
傷病手当金は、
病気休業中に被保険者とその家族の生活を
保障するために設けられた制度で、
被保険者が病気やケガのために会社を休み、
事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
とあります。
つまり、会社員が病気やケガで仕事ができなくなった場合に
収入がなくなってしまうのは困るでしょうから
手当金を支払いますよ、ということです。
不妊治療中に、入院してしまった場合や
自宅療養をした場合(診断書が必要です)も
これに該当してきます。
不妊治療そのものは、傷病手当金の対象にならないので
注意してくださいね。
それから、
この制度は会社の健康保険に入っている場合のものなので
自営業の方は対象外です。(残念…。)
どんなときにもらえる?
入院したら無条件で傷病手当金がもらえる訳ではなく、
いくつか要件があります。
(1) 業務外の事由での病気やケガであること
業務内や通勤時のものは「労災」の対象になりますので
傷病手当金の対象からは外れます。
また、対象は病気やケガなので、
美容整形なども対象外です。
一方で、自費診療でも、
仕事に就くことができない証明があれば対象となります。
(2) 仕事に就くことができないこと
これは医師に証明してもらう必要があります。
証明してもらうことができれば、自宅療養もOKです。
(3) 4日以上休むこと
連続して3日間のあと、4日目から支給されます。
この最初の3日間のことを「待機期間」と呼びますが、
これには有給休暇・土日・祝日なども含まれます。
(4) 給与の支払いがないこと
休んでいる間、給与が支払われている場合は、
傷病手当金は支給されません。
休んでいる間の生活保障のための制度ですから
当たり前といえば当たり前なのですが…。
ですので、有給休暇を使って入院している場合は
対象になりません。
いわゆる、「欠勤」扱いとなって
給与が支払われない場合に、申請ができるんですね。
有給休暇は使わずに、「欠勤」扱いにしてもらうことができれば
傷病手当金は支給対象になりますが、
これは、できるかどうかを事前に職場で確認してみてくださいね。
ただ、多くの場合は、
有給休暇を優先して使うことを選択する人が多いと思います。
なぜなら、傷病手当金の金額は、
単純計算すると、「給与の3分の2」だからです。
有給休暇でしたら、満額もらえますからね。
あまりないケースかもしれませんが、
病気で休んでいる間、給与が支払われる場合でも
傷病手当金よりも少ない額であれば、
その差額を傷病手当金として申請することができます。
いくらもらえる?
支給される傷病手当金の計算式をきちんとみてみましょう。
1日当たり、
(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準月額の平均)÷30日×2/3
です。
簡単にいうと、
1日当たり、
過去1年間の平均日給の3分の2がもらえる ということになります。
ざっくり計算すると
1日あたり平均7,500円もらっている人は
5,000円の傷病手当金がもらえる、ということですね。
30日間、休んだと仮定すると、
(30日―3日(待機期間))×5,000円=135,000円
が、もらえる金額の合計額となります。
また、
傷病手当金が支給される期間は、
支給開始した日から最長1年6ヵ月です。
1年6ヶ月の間に、一度復職したけど
また同じ病気で欠勤することになった場合は、
復帰した期間を1年6ヶ月に含めて期間をカウントします。
退職してももらえる?
退職日までに、被保険者期間が1年以上で、
退職時に、すでに傷病手当金をもらっている状態
(またはもらえる条件がそろっている状態)
にあれば、
退職後も引き続き受給することができます。
ただし、退職してしまった場合は
いったん復職してからまた同じ病気で欠勤する場合は
もらえません。
また、退職時に「任意継続被保険者」を選択した場合、
この期間中に発生した病気・ケガについては、
傷病手当金はもらえません。
結局は使える制度なの?
私も17年間の会社員の経験がありますが、
その間に入院したのは2回。
(うち、一度は妊娠7週目の切迫流産でした。)
このときは、結局、傷病手当金は申請しませんでした。
つまり、欠勤扱いではなくて
有給休暇の消化という選択をしました。
理由は
・有給休暇がたくさん残っていた
・手続きが面倒だった
・やはり金額が2/3になってしまうので、有給休暇が有利だった
というものでしたが、
一番大きかったのは
『入院が長期化しなかった』
ということだと思います。
ですので、
長期入院のことを考えると、
やはり可能性としては、知っておいて損はない制度だと思います。
また、「治療費の軽減」という視点でみますと、
やはり知っておきたいのは「高額療養費制度」です。
高額療養費制度については、こちらの記事に詳しく書きましたので
参考にしてくださいね。
ちなみに、傷病手当金は
妊娠中のトラブル(悪阻、切迫流産、切迫早産、妊娠高血圧症など)
による欠勤も対象ですが、
産休中のトラブルは、出産手当金が優先されます。
傷病手当金のほうが出産手当金より多ければ、
その差額は支給されます。
著者:岡田 のりか
FPオフィスナチュール代表/ファイナンシャル・プランナー
大学時代は経営学/会計学を専攻。会計事務所/監査法人勤務を経て2016年にファイナンシャル・プランナーとして独立。コラム執筆や個人相談を中心に活動中。
メールマガジン「明るい!妊活マネーレッスン」にて、妊活に悩む30代・40代の女性を応援中。高齢出産の女性の未来を明るくすることを目指す。ファイナンシャル・プランナー(AFP)/米国公認会計士(ワシントン州ライセンス)
ホンの少しの知恵で不妊治療費300万円を用意できるとしたら…
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