TOPIXファンドとETFのパフォーマンス比較。ETFは分配金を税引きしてもファンドに勝てるのか?


TOPIXのファンド比較はこちら各資産クラス別、インデックスファンドの実質コスト、資産、売買高比率を一挙比較
参照ください。

こんにちは、林FP事務所の林です。

ところで、投資に当たってファンドにするか、ETFにするか結構悩みませんか?(少なくとも僕は悩みました)

金額が大きく、また投資期間が長くなればなるほど小さな違いが大きな結果の違いを産んでしまいます。

とくにETFの場合は分配金への課税問題があり、実際のところファンドとETFのどちらが有利なのかが見えにくくなっています。

そこでこの記事では、ETFの分配金が課税されたらトータルパフォーマンスはどうなる?という観点を加えて、TOPIX ETFをメインに比較してみました。

より現実的なパフォーマンスを見れないか?というのが狙いです。

ETFについてはNISA、ETF、ファンド。バリュー平均法なら「なに」を「どこ」で投資すればいいの?の記事内で主に信託報酬でザックリと比較していますが、

今回の記事の特長は

  • TOPIXに特化して
  • ファンドとETFの実運用の状況に近いパフォーマンス

を比較することで、

「ファンドとETF、結局どっちがいいんですか?」

という疑問に、ある程度の決着をつけたいという狙いがあります。

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TOPIX ETFの価格計算方法

比較の数値を見る前に、まず数値を合わせておきます。
具体的には、分配金再投資基準価格に揃えますが、
なぜかというとファンドやETFによって騰落の数値が分配金を除いたものだったり
分配金(税引き前)再投資だったりとまちまちだからです。

分配金再投資基準価格の計算方法はこちら。

2014-10-02 16.43.17

各ETFの基準価格は分配金が含まれていませんが、
これに分配金Dを、分配金が出た当日の基準価格で再投資したとし
基準価格に沿って増減すると仮定して分配金再投資基準価格を計算します。

基準日の分配金再投資基準価格A'と、
そこから一定期間前にある計測開始日の分配金再投資基準価格B'が分かれば、

B'/A'-1

により分配金再投資基準価格の騰落率を求めることが出来ます。
運用レポートの騰落率はB/A-1だったり、B'/A'-1だったりとまちまちなので
B'/A'-1に揃えましょう、ということですね。

また、Dを非課税とすれば分配金(税引き)再投資となり、
Dに課税すれば分配金(税引き)再投資となります。

分配金の課税関係は若干ややこしくて
基本は源泉徴収課税ですが確定申告により譲渡損と相殺できます。
特定口座で配当金受け入れの設定にしておくと、
確定申告せずとも年末に自動で相殺処理がされます。

さらには、配当控除により節税できる可能性もあります。
(詳しくは各証券会社または税務の専門家にお問い合わせを)

何が言いたいかというと、一旦は課税(源泉徴収)されるということです。
年末や確定申告時に譲渡損があれば相殺された分、帰ってきますが、
実際にはそれまで再投資できないので、その分変動するはずです。

ただし、そこまで考え出すと計算がかなり面倒になってしまうので
ここでは一定割合で源泉徴収されるとして、
年末の相殺処理や確定申告ではお金は帰ってこないという仮定で計算しました。
(ちょっと手抜きですが、大勢に影響はなかろうということで)

余談ですが、最初、上のような図をかかずにいきなりExcelで計算させ始めたため、
「あれを引いてこれを掛けて」「あれ?こっちを足しても、あわないぞ??」
と混乱してしまい、余計な時間がかかってしまいました(苦笑)

やっぱり手抜きせず、きちんと頭を整理してからやるのがいいですね…^^;

ファンドとETFの比較

ここまでで前提条件が出来上がりましたので、
早速比較していきます。

TOPIXの「ファンド」については
各資産クラス別、インデックスファンドの実質コスト、資産、売買高比率を一挙比較
の中で比較を行っていますが、この中で
三井住友TAMのSMT TOPIXインデックス・オープンが良さそうだと思うので
これを比較基準としてETFのパフォーマンスを比べてみることにします。

TOPIXインデックスファンドとETFの分配金再投資パフォーマンスの比較
ファンド名 基準価格騰落率(%) 信託報酬(%)
1カ月 3ヶ月 6ヶ月 1年 3年
TOPIX(配当除き) -0.90 6.40 5.50 15.50 65.80
TOPIX(配当込み) -0.86 6.59 6.68 17.84 77.13
税引「前」再投資
SMT TOPIXインデックスオープン -0.90 6.37 6.45 17.39 74.86 0.37
1305 ダイワ上場投信-トピックス -0.9 6.4 6.6 17.6 76.3 0.11
1306 野村TOPIX連動型ETF -0.88 6.39 6.54 17.62 76.13 0.11
1308 上場インデックスファンドTOPIX -0.88 6.40 6.55 17.64 76.32 0.088
1348 MAXISトピックス上場投信 -0.87 6.45 6.59 17.69 76.37 0.078
10%税引「後」再投資
SMT TOPIXインデックスオープン -0.90 6.37 6.45 17.39 74.86 0.37
1305 大和上場投信-トピックス -0.87 6.29 6.41 17.46 75.47 0.11
1306 野村TOPIX連動型ETF -0.88 6.24 6.39 17.44 75.26 0.11
1308 上場インデックスファンドTOPIX -0.88 6.24 6.39 17.46 75.49 0.088
1348 MAXISトピックス上場投信 -0.87 6.34 6.47 17.46 75.35 0.078
20%税引「後」再投資
SMT TOPIXインデックスオープン -0.90 6.37 6.45 17.39 74.86 0.37
1305 大和上場投信-トピックス -0.87 6.16 6.28 17.32 74.78 0.11
1306 野村TOPIX連動型ETF -0.88 6.08 6.23 17.27 74.39 0.11
1308 上場インデックスファンドTOPIX -0.88 6.08 6.23 17.29 74.67 0.088
1348 MAXISトピックス上場投信 -0.87 6.25 6.39 17.30 74.50 0.078

(比較基準日:2014年8月29日)

表は上から下にかけて3つのパートに分かれていて

  • 一番上が税引き「前」再投資基準価格による騰落率
  • 中段が10%税引き「後」再投資基準価格による騰落率
  • 下段が20%税引き「後」再投資基準価格による騰落率

となっています。

黄色でマークしてあるところは、同一課税条件、期間で
最大のパフォーマンスとなったものです。

また、それぞれのパートで
背景がグレーになっているのは今回基準に採用したSMTファンド、
背景が薄黄色になっているのは比較対象のETFです。

まず分配金税引き「前」再投資の騰落率ですが、計算法は上で示したとおりで、
運用レポートで分配金(税引き前)再投資の騰落率が公表されているETF(1305,1348)については
計算せずにレポートの数値をそのまま採用しています。

1306,1308はこちらで税引き前再投資の数値に計算しなおしていますが
1305,1348と比べても同等の数値となっているので、
計算方法に恐らく問題はないと思います。

税引き前再投資では、ファンドよりもETFのパフォーマンスが断然高いですね。
ETFの中でも1348 MAXISトピックス上場投信が全体的に好調だったようで、
さすが信託報酬0.078%と最小レベルの実力をうかがわせています。

中段に移って分配金10%税引「後」再投資
源泉徴収されるものの、年末や確定申告で帰ってきて、
それを一部再投資できる、というシナリオです。

このシナリオでも1348 MAXISトピックス上場投信が相変わらず強いものの、
他のETFと同等、もしくは逆転されるケースも散見されます。
注目されるのは期間3ヶ月の騰落率で、SMT TOPIXインデックスオープンが
トップに踊りでています。

最後に下段、分配金20%税引「後」再投資
源泉徴収された分配金が帰ってこないとするシナリオです。

驚くべきことに(?)期間1ヶ月を除く全てで、
SMT TOPIXインデックスオープンが勝るという結果になりました。

分配金の課税状況によって成果が異なり、
課税率が高くなればファンドが優位となる可能性がある
ということがこれで分かりました。

ファンド vs ETF

ここまでTOPIXに限った話でしたが、TOPIXだけで見ても
ファンドにすべきか、ETFにすべきかというのは結構難しい選択です。

ETFには課税以外にも

  • 購入時手数料
  • 流動性リスク
  • 市場価格と基準価格の乖離

という悩みを抱えていて、仮に分配金の課税を逃れたとしても一筋縄ではいきません。

正直なところ、ETFの分配金をすぐに再投資するような人も
なかなか居ないと思います。

ほとんどの場合、気づいたら口座に分配金が入金されていて、
待機資金になっていることが多いと思います。

であれば、自動的に再投資されるファンドのほうが
実用上の優位性があると言えます。

特に、忙しい人(時間単価の高い人)は素直にファンドでいいように思います。

投資が趣味だ、とか、カツカツまでパフォーマンスを上げたい、とか
そういったニーズをお持ちであれば

のが良いかと思います。

ここまでやるなら、良し悪しというよりは
個人のポリシーだと思いますので、
それはそれでいいのではと思います。

海外株式クラスのファンドとETFの違いについて

海外株式クラスのファンドとETFの違いは複雑で、
一言で結論がでるようなものでもありません。

個人的に興味は尽きないのですが、いずれにせよ、いち投資家としては

  • 商品知識を深めていくのは素晴らしいことなので、今後も出来る範囲で継続する。
  • その上で、自分が理解できない商品には手を出さない。

という、基本のルールを守っていけばそれでいいと思います。

国内債券、海外債券について

国内債券、海外債券のETFについても比較しようと思いましたが、
上の表をまとめるのに思った以上に時間がかかったのと(苦笑)、
記事が長くなってしまったので別の機会にまとめたいと思います。

ただ、国内債券クラスのETFはほとんどニーズがないようにも思うので
海外債券クラスについて、ファンドとETFの比較とする予定です。

以上、参考にしてください。

追伸

とりあえずの議論は置いておいたとして、
投資が趣味でも仕事でもない普通の人にとっては、
インデックス系ファンドの良し悪しは

配当込み指標

配当込み基準価格

のトラッキングエラーで簡単に測るのが
実用上、よいのではと個人的に思います。

それ以上の事を言い出すと、
ファンドの外の人間にはなかなか判断付かないだろうと。

そういう意味では、ここで挙げたファンド、ETF、は
いずれもTOPIX(配当込み)を下回るパフォーマンスで
最もパフォーマンスの高いものが最もトラッキングエラーが小さく、
良いファンド(ETF)と言えそうです。

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TOPIXファンドとETFのパフォーマンス比較。ETFは分配金を税引きしてもファンドに勝てるのか?” に対して2件のコメントがあります。

  1. @mo2mo2nabe より:

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