子供NISA(ジュニアNISA)のまとめ、2015年版。他の贈与制度との比較もしてみました。
こんにちは。林FP事務所の林です。
昨年(2014)8月に金融庁がプレスリリースし、
にわかに注目を集めている子供NISA。
僕も過去記事
子供版NISAは子どもに悪影響も?ご利用は計画的に。
で幾つかコメントしていますが、
ずいぶん情報も蓄積されてきたようですので
僕の頭の中を整理する意味も込めて
子供NISAの2015年版(?)として
改めてまとめておきたいと思います。
そもそも子供NISA(ジュニアNISA)とは?
NISAは日本(N)版のISAと言われるように
英国のISA制度を手本に設計されています。
このNISA口座を開くための条件は、
現在20歳以上でかつ日本居住者でなければなりませんが
子供NISA(金融庁資料ではジュニアNISAと表記、以下ジュニアNISA)は
NISAの未成年版に当たります。
したがって、0歳から19歳の日本居住者が
ジュニアNISAの口座開設対象者となります。
仕組みの概要は以下のようになっています。
(出典:平成27年度税制改正要望|金融庁(PDF 2014/8/29))
ジュニアNISA口座の特徴をまとめると
- 日本居住の未成年(0〜19歳)が対象
- 年間80万円の非課税枠が、5年間
- 18歳までは原則引き出し不可。ただし災害等で緊急に資金が必要な場合は別。
- ジュニアNISAの当初5年非課税期間終了後は、20歳までロールオーバー。
- 20歳になった時点で、通常のNISA口座へ自動移管
現状では80万円の非課税枠が最大5年間つきますから
子供一人につき400万円の非課税枠となります。
ジュニアNISAの狙いは大きく
- 高齢者資産の若年世代への移転
- 長期的資産形成の援助
の二つがあります。
既に20歳に近い未成年者は別として、
小さいお子さんからNISAを始める場合は必然的に長期運用となりますから、
当初5年間(400万)という枠に拘らず、恒久化していくのが
次の重要なステップになると思われます。
ジュニアNISAに関する報道記事・資料は
- 平成27年度税制改正要望|金融庁(PDF 2014/8/29)
- 金融庁、ジュニア NISA 創設を要望|大和総研(2014/9/19)
- 子供NISAが描く長期株高 教育・相続を味方に|日本経済新聞(2014/9/28)
- 平成27年度税制改正大綱|自民・公明(2019年1月時点でリンク切れ)
なども参考にされてください。
他の制度との比較は?
400万円を仮に18年運用するとして、平均年4%の利回り(複利)で
18年後に約2倍の800万円となります。
(最初の5年は積み立てですから、単純にこうはなりませんが)
18歳といえば次は大学生ですから、
学費に充てる目的であれば、
医学部とかでなければまぁ十分。
ですが、高齢者が持つ資産を孫世代に贈与する
目的であるなら、ちょっと少ないような気もします。
そこで、ジュニアNISAと一般的な親・祖父世代から子への
贈与制度同士の特徴を比較してみました。
子供NISA | 教育資金非課税贈与(※1) | 暦年贈与(※1) | 都度贈与(※1,2) | |
---|---|---|---|---|
子一人につき最大非課税贈与枠 | 400万円(年80万x5) | 1500万円 | 年間110万円 | なし |
子の条件 | 20歳未満 | 30歳未満 | なし | なし |
資金利用目的 | 自由 | 教育関連費のみ | 自由 | 生活費や教育費 |
引き出し制限 | 子が18歳になるまで原則不可 | 教育機関の領収書と引き換え。習い事等は500万円まで。 | なし | なし |
金融機関等の条件 | 成人NISA同様、毎年変更可能か(?) | 1機関のみ | なし | なし |
注意点 | 5年後ロールオーバー時に年80万円の上限あり。 | 30歳までに使いきれなかった分は課税される。 | 定期贈与とみなされた場合、課税されることもある。 | 必要な額をその都度渡す必要がある。 |
※1 孫への教育資金が非課税に 贈与新制度の活用法|日経新聞
※2 No.4405 贈与税がかからない場合|国税庁
ジュニアNISAはその他の非課税贈与に比べて引き出し制限がきつく、
明らかに長期運用させることを目的にしていることが分かります。
(まぁ、当たり前ですね^^)
その他の非課税贈与を見ると、
教育費などは都度贈与しても非課税であり、
必ずしも教育資金非課税贈与を使わないといけないわけではないようです。
子供が小さいうちは子供NISAで長期運用しながら、
子供の教育費がかかるころに不足分を都度贈与や
教育資金非課税贈与を使って贈与する、というのが
基本的な活用法なのかなと思います。
もちろん、ジュニアNISAは20歳になれば成人NISAに移行しますので
20歳移行もNISA内の資金はあえてそのままにして、
教育資金を別途調達してもいいと思います。
活用方法でいろんなバリエーションが作れそうですし
ジュニアNISA、成人NISAとも今後改善されていくものと思います。
引き続き注目していきます。
こちらもお読み下さい。
↓
NISA・ジュニアNISA最新制度のまとめ(2016年・保存版)