インデックスファンド、7つの「メリットとデメリット」を押さえよう。

こんにちは。林FP事務所の林です。

機関投資家、個人投資家の間で
じわじわとインデックスファンドに注目が集まっています。

パッシブファンドとも呼ばれるインデックスファンドで
わりと地味なイメージですが
なぜここまで注目されるのでしょうか。

改めて、メリットとデメリットをまとめてみました。

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インデックスファンドのメリットとは

インデックスファンドはシンプルである

インデックスファンドはアクティブファンドに比べてシンプルで、
ファンドの内容も比較的明快です。

例えばTOPIXに連動するインデックスファンドでは、

1.TOPIX(インデックス)の値動きを確認する

2.ファンドがTOPIXにどれだけ追従できているか確認する(インデックスからの誤差をトラッキングエラーといいます)

3.コストや資産額を確認する

がファンドを選ぶ基準になります。

ここで重要なポイントはインデックスそのものは一般に公開されていて
それを基準にファンドを比較できる
という点です。

このインデックスが基準(ベンチマークといいます)になって、
ファンドの性能やコストが決まりますので、
選ぶ側はいくつかのポイントをチェックするだけで
ファンドの良し悪しが分かるわけです。

一方、アクティブファンドを分析するのは骨が折れます。
というか、目論見書を見ただけでは
実際、中で何をやっているのかがほとんど分かりません。

インデックスファンドが選びやすいというよりは、
アクティブファンドが常識はずれに選びにくい
といったほうが正確かもしれません。

個人的には、アクティブファンドを選ぶぐらいなら
IR情報のある個別株の方がよっぽど理解できます。

インデックスファンドは比較的透明性が高く
フェアな金融商品といえるでしょう。

インデックスファンドは低コストである

上記のように、インデックスファンドの内容は比較的明瞭、明確です。
そのため、必然的に「比較も容易」になります。

例えば以下の日経225連動型インデックスファンドのどれが良さそうか、
考えてみましょう。

  • (A) M銀行:国内株式インデックス(日経225)
  • (B) S銀行:野村インデックスファンド・日経225
  • (C) S証券:ニッセイ日経225インデックスファンド

いずれも日経225連動型ファンドですので、
基本的なパフォーマンスは同じといえます。
ここでは話を簡単にするため、トラッキングエラーは同じと考えます。

そうすると、比較のポイントは

  • 購入時コスト
  • 運用コスト(信託報酬等)
  • 資産総額の推移

のたった3つとなります。

上記A,B,Cいずれもノーロードファンドで、購入時コストはゼロです。
したがってこれは互角。

運用コストの代表である信託報酬を見ると

(A) 0.4104%
(B) 0.432%
(C) 0.27%

と、3つの中では(C)がダントツ安いです。
ということで信託報酬は(C)の勝ち。

資産総額に関しては、

(A) 約13億円
(B) 約85億円
(C) 約700億円

と、これまたダントツで(C)が大きいです。

ファンドの場合、大きすぎると良くない面もありますが
トラッキングエラーが同じなら資産の大きいほうが
繰り上げ償還のリスクが低く、ベターです。

とうことで、こちらも(C)の勝ちです。

以上から
(C) S証券のニッセイ日経225インデックスファンド
が良さそうだ、ということが簡単に分かりますね。

このように、単純にコストと資産で比較できてしまうので
より低コストのファンドに資本が集中します。

「資産総額が増える」
→「資産に対するオペレーションコスト割合が減る」
→「運用コストが下がる」
→「さらに資産が増える」…

という、好循環が生まれます。

海外ETFでは信託報酬がたったの 0.03% などというものもあって、
コストの低さがインデックスファンドの大きな魅力の一つになっています。

ちなみに、

「0.1% の運用コスト差なんて、大したこと無くね?」

などというコスト認識の甘い人は、
金融機関の格好のカモです。

こちらの記事を読んで情報武装しておきましょう。

「天引きNISA」はサラリーマンの敵か味方か。確定拠出年金とどう違う?

インデックスファンドは長期投資に馴染みやすい

インデックスファンドはそのインデックスが存在する限り、
フォンドそのものも存続する可能性が高いと言えます。

少なくとも、目論見書上での信託期間を
「無期限」としているものがほとんどで
全体的に長期投資に向く商品といえるでしょう。

インデックスそのものがなくなったり
あるいは資産額が低迷して一定以下になったりしない限り
ファンドは存続していきます。

仮にファンドが繰り上げ償還(つまりファンドの精算)となっても、
償還時の基準価格で資産分配されますので大きな問題はないものの
利益が出ていた場合は思わぬ税金がかかってしまいます。
(この点、株式の上場廃止とは事情が異なります。)

ですので、やはり長期存続してもらったほうがいいわけですね。

幅広い分散投資が、低コストで可能である

「卵を一つのカゴに盛ってはいけない」

これは古くから言われている投資の格言で、
投資の基本は、とにかく分散、分散です。

分散は、運用資産が大きくなればなるほど重要になっていきます。

もちろん個人差はありますが、
例えば運用額が10万円程度であれば、
それほど分散に神経をとがらせる必要はありません。

しかし、100万、1000万、1億…となっていくと
話は別になってくるでしょう。

インデックスファンドを使えば、
1,000円程度の非常に小さな額から
世界中に広く分散した投資が可能になります。

インデックスそのものが幅広い銘柄の平均等をとったものが多いので
インデックスファンドは必然的に分散投資になるわけですね。

これだけ広範囲の分散投資を、
これだけ低コストでできるようになったのは、
実はつい最近になってからなんです。

それまでは「パッシブファンドのくせにコストが高い!」
と逆に敬遠されていたぐらいですから、
ちょっとした感慨もあります…

個人投資家のレベルが上がってきている証拠ですので、
これは大歓迎ですね。

実はアクティブファンドより儲かる?

「でもなんだかんだ言ってファンドのパフォーマンスが悪けりゃ意味ないでしょ。」

と言われそうですが、実際はそうでもありません。
それどころか、むしろインデックス(パッシブ)ファンドの方こそ
本命といえるファンドなのです。

金融機関はひた隠しにしていますが、
「アクティブファンド」はアクティブという名前が示すほど
良いパフォーマンスを残せていないのが現状です。

例えばこちらのモーニングスターの記事を見てみてください。

コスト高ファンドに「警鐘」―バリュー型は影響大―|モーニングスター

上で書いたとおり、アクティブファンドは
インデックスファンドに比べて
構造的に高コストになります。

そして高コストなファンドはそれが「重石」となって、
全体的なパフォーマンスを押し下げる大きな要因となります。

「投資はインデックスファンドでなければならない」というつもりは毛頭ありませんが、
少なくとも高コストなアクティブファンドは避けるのが無難でしょう。

今後、インデックスファンドと良い勝負ができるほど
低コストなアクティブファンドが出てくれば話は別です。

インデックスファンドのデメリット

ここまで、インデックスファンドのメリットについて
(ある意味熱く?)語ってきました。

ですが、当然デメリットもありますので
合わせて知っておいてください。

インデックス投資が世界的に広がれば、取得コストがバカにならない

インデックスファンドは運用資産額が120兆を越す
GPIF(年金積立金管理運用 独立行政法人)も採用するなど、
非常に大きな資金が流入しています。

しかしこれには大きな問題もあります。

例えば
GPIF改革、日本株は20%超へ調整=政府・与党筋|ロイター

GPIFが日本株の資産比率をあげようとしているのは
記憶に新しいことかと思います。

保守的なGPIFがよりリスクをとってチャレンジすることはいいことではないか?

日本の株価が底上げされて、非常にいいことではないか?

と言われるかも知れませんが、
投資家にとってはやっかいな問題もあります。

このように大きな資金が動くことが
「事前に」分かってしまうと、
それを見越した買いが発生します。
(こういう買いを「コバンザメ投資法」と言ったりします)

だから記事でも、日本株が上がったと書いているんですね。

で、実際にGPIFが購入するときには
「既に高値になっている」インデックスを
購入させられる羽目になったりします。

これはどちらかというとインデックスファンドの問題というよりは
年金資金の運用の問題といえるものですが、

インデックスを通して広範囲に影響を及ぼすので
インデックスの問題でもあります。

インデックスそのものの問題も当然あって、
組み入れ銘柄の入れ替え発表時に
コバンザメが発生します。

インデックスは銘柄組み換えを数ヶ月前等
事前に発表しますので、

「なら新規組み入れ銘柄は数ヶ月後に莫大な買いが入るな」

との思惑で当該銘柄が上昇します。

で、インデックス側が高値掴みしてしまうわけです。

こうした動きはインデックス運用の
悩みのタネになっています。

また、今現在はそれほど認識されていませんが、
ファンドがインデックスに依存しているという
問題もあります。

インデックスにはインデックスを管理する会社に
著作権があり、ファンドはロイヤリティを支払います。

今後、ロイヤリティが上がらないとも限りませんので、
ファンドのコストに関しては注視していく必要があります。

インデックス自体、決して万能ではない

インデックスは決して万能なツールではありません。

過去に批判された例として、
「浮動株の少ない銘柄に大きな影響を与える(受ける)」
というものがあります。

どういうことかというと、インデックスの多くが
時価総額を基準に組み入れ比率を決めていますが、
単純にこのルールに従うと思わぬ影響をうけます。

例えばITバブルのときに上場した銘柄で、
オーナーの持株比率が高い=浮動株(実際に市場で取引される株)が少なく、
投機的な値動きをする銘柄の時価総額が高騰してしまい、
インデックスに大きな影響を与えました。

逆に、インデックス経由で流入した資金が
浮動株の少ない銘柄を乱高下させるという問題もあります。

インデックスはもともと市場平均を捉えるのが目的ですが
一部の銘柄に大きな影響を受けてしまっては本末転倒ですね。

今は浮動株比率で修正しているものも多いですから
上記のような問題はほぼ解消されています。

あと、当然ながら

パフォーマンスの良いインデックス
パフォーマンスの悪いインデックス

があります。

結局は過去データからの議論でしかないという批判はあるものの
投資先として選んだインデックスによって
投資成果が影響を受けるというのは
当然のように理解しておく必要はあるでしょう。

インデックスファンドのメリットデメリットまとめ

以上、簡単ですが
インデックスファンドのメリット、デメリットをまとめてみました。

僕の個人的な考えですが、今後は
インデックスが多様化していき、インデックス連動ファンドが増えていくでしょう。

例えば国内株式であればついこの間まで
日経225やTOPIXぐらいしかありませんでしたが、
JPX日経インデックス400というインデックスが
2014年5月に発表・運用開始されました。

もちろんJPX日経インデックス400連動のETF(信託報酬 0.108%)も設定されています。

こうした動きが、国内、海外でどんどん
活発になっていくと思いますね。

実際、海外では様々なインデックスが開発され、
ファンドやETFがどんどん設定されているみたいです。

結果を残せないアクティブファンド、
内容がよく分からないアクティブファンドは
より一層敬遠されていくことでしょう。

インデックス投資家にとっては、
どんどん選択肢が増えていきますので
今後がとっても楽しみな状況ですね。

もちろん、やみくもに変な(小さな範囲の)
インデックスに投資する必要はありません。
基本は、幅広く分散ですので。

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