終身保険の戻り率に要注意!見た目の返戻率と実際の損得は別世界です。

カタログショッピングって、
面白いですよね。

昨日、パラパラとカタログをめくってたら、
「人型寝袋」なるものを見つけまして。

自由に動き回れて、寝袋レベルで暖かい!

しかも

「うっかり寝てしまっても大丈夫!」

というコピーにオオウケしてしまいました(笑)

保険の定番商品「終身生命保険」

冒頭の「人型寝袋」。

京都の冬は本当に寒いので、
思わずFAXしそうになりましたが、

見た目が「ドラえもん」みたいになるので、
どうしようかちょっと悩んでます。

話は変わりますが、
保険にも、カタログにのるような
「定番商品」。
ありますよね。

保険の定番商品の一つといえば、
終身生命保険ですね。

保険料を払い込んだ後は、
払込保険料総額よりも多く
お金が返ってくることもあり、
預貯金の代わりとしても
根強い人気がある保険商品です。

ですが、実際の損得の話はまた別で、
しかも預貯金以上にリスクが高い部分もあるので
注意が必要なのです。

見た目では沢山もらえるのに…!?

例えば払込期間30年、契約年齢30歳で
返戻率が110%前後の終身保険が多いようです。

「お金が10%増えて戻ってくる!」

と思いがちですが、それはあくまでも「名目」のお話。
実質を計算すれば、また違った結果になるのです。

シミュレーションでみてみましょう。

まずは、名目値を確認します。

終身保険の返戻金(名目)

2015-10-28 10.15.39

一般的に、途中の返戻率が低く、払込期間終了前後から
ようやく払込保険料総額を超えてきます。

でも、

「まぁ30年待てば保険料総額よりも多くなるから、それでいいじゃないか。」

と思いますよね。

ではここで、インフレ率1%の世界を見てみましょう。

物価が毎年1%上昇するという仮定で、
保険料総額と返戻金の「現在価値」を計算します。

物価が変動する場合、お金の価値は毎年変化していきます。
変化したもの同士を比較できないので、現在の価値という
共通のモノサシで比較するのが「現在価値」です。

インフレ率1%時の終身保険の返戻率(現在価値)

2015-10-28 10.16.04

このグラフの見方は、例えば10年後の
払込保険料総額と返戻率の数値は、
10年後の価値を現在価値に計算しなおした額で
表示してあります。

以下、全ての時点で同様に現在価値になおしています。

よくみると…あれれ?
なんだか怪しくなってきましたね。

インフレ率1%では、返戻金は
保険料総額を下回ってしまうようです。

名目では+10%ですが、インフレ率1%下では
実質(現在価値)で−5%になります。

では、
日銀が目標としているインフレ率2%の世界では
どうなるのでしょうか。

インフレ率2%時の終身保険の返戻率(現在価値)

2015-10-28 10.16.28

残念ながら、解約金は保険料総額を
大幅に下回ってしまいました。

30年後の返戻率は実質(現在価値)で
−19%になります。

見た目の数字は払った額より沢山帰ってきているのに、
実際の購買力はこのように「目減り」してしまうのです。

なぜこのようなことが起きるのか?
なにか計算違いではないか???

いえ。

残念ながら、
これが正しいのです。

答えは「タイミング」にあります。

保険料を支払うタイミングは
受け取るタイミングよりも「前」ですよね。

つまり、現在価値が大きい保険料を、
現在価値が小さくなった後で返戻金として受けとるので、
こうした逆転現象が起きるのです。

見た目は儲かっているのに、
実際には損をしている……

大いに、気をつけなければいけません。

「葬式代の足しに…」という理由で
終身保険を契約される方も多いですが、
老後の葬式代なら預貯金で準備して下さい。

「私はインフレに負けます」と早々に宣言するのと同じ

カンの良い方は上のグラフを見て
気づいたと思いますが、
納付満期になるまで、解約返戻金が
非常に少なくなっています。

「終身保険なんだから、仕方ないよね…」

と思われるかもしれませんが、
それが大きな落とし穴になっているのです。

例えば、終身保険を契約した時点では
デフレで、インフレリスクなんて
想像もしていなかったとしましょう。

実際、数年前までは
まだまだデフレ経済が続くという考えが
支配的でした。

しかし安倍政権となり、インフレ目標2%を達成するために
日銀は世界中が驚くような金融緩和政策をとります。

突然、デフレからインフレに舵を切り始めたわけです。

30年以上の契約となると、このように
途中で何が起こるかわからないわけですね。

ですが、今後のインフレに備えたくても、
解約返戻金が少なすぎるために、
泣く泣くそのまま放置してしまう…。

こういう状況を「流動性リスク」といいます。

流動性リスクとは、売りたいけど売れない、
もしくは非常に安い値段でしか売れない
ことを言います。

終身保険は流動性リスクが高いため、
いわば契約時点から

「私は今後、インフレになったら負けます」

と早々に宣言してしまっているのと
同じ状態になってしまうのです。

誤解されないように付け加えておくと、
僕はなにも「今後インフレになる」と
断言しているわけではありません。

もしインフレになったとしても身動きがとれない、
というのが流動性リスクの正体なのです。

これが、預貯金にはない大きなリスクです。

実際、相談者の方も、
契約「後」に「どうすればいいか?」
と悩まれることが多いようです。

ちなみにですが、
もし今後数十年、(幸いに?)インフレにならず
インフレ率0%で推移したとしましょう。

その場合は名目上の+10%が、
実質上の利益となりますが
これも30年でならしてしまうと
複利年利でたった 0.32% に過ぎません。

これならまだ、例えば国債を持っておくほうが
流動性リスクも少なく、保険よりも信用リスクが小さくて
いいというものです。

もちろん、予想外に早く死亡してしまった場合の
保障はついていますので、その部分に価値はあるのですが、
だったらこんな余計なリスクを負わずに、シンプルに
定期保険か逓減定期保険を契約するのが経済合理的でしょう。

終身生命保険にはこのように、
多数の見えにくいリスクがありますので
慎重に検討するべき商品なのです。

保険はあくまでも、保障を得るためのコストか、
あるいは節税対策としての利用価値は多少、あります。

節税対策と見る場合は、保険以外にも
相続全体で考える必要があるでしょう。

いずれにせよ、
資産運用と保険は、
必ず別々に考えるべきものです。

カタログ通販みたいに、
気楽に「ポチ」っとしたら、
ダメですよ ><

↓期間限定の無料コンテンツをお受け取り下さい

資産形成メルマガ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です