読者から「貯蓄性の高い保険について」ご質問をいただきました。
ちょっと保険の話が続きますが、
たまたま読者様からご質問をいただきましたので、
回答がてら、シェアしておきますね。
今日は、
「貯蓄性の高い保険のメリットとデメリット」
についてお話しします。
目次(タップでジャンプ)
貯蓄性の高い保険のメリットとデメリットとは
先日、
貯蓄性の高い保険のメリットデメリットについて教えてほしいです。
(メルマガ読者 I様)
というご質問をいただきましたので、
以下のように回答させて頂きました。
I様
メルマガへのコメントを頂き、
ありがとうございます。まず誤解の無いように基本的なことから
お話しておきますと、保険そのものに貯蓄性の高いもの、
というのはありません。一般に貯蓄性保険と言われているものは、
保険会社が債券等を仕入れ、そこから保険会社の
コストを差し引いて転売するという形をとっています。もちろん、契約上は転売にはなっていませんし、
内部の仕組みはもっと複雑ですが、
お金の流れでいえばそう考えると理解しやすいです。ですので、運用としてお考えであれば、
上流の金融商品、例えば債券や株式などへ
直接投資される方が基本的に有利です。よく、「お宝保険」などという言葉がありますが、
あれは利回りの高い時期に仕入れた債券で運用している保険、
と考えれば納得いくと思います。
保険がお宝なのではなく、購入時の
債券利回りがよかったという話ですので、
同時期に債券(個人なら個人向け国債等)を
直接購入した人はもっとお宝になる可能性があります。貯蓄性保険についての直接的なデメリットは、
満期以前の解約はほぼ確実に元本割れするということです。債券等であれば条件によって時価で売却することも可能
(つまり、利益が出ることもある)ですが、
保険の場合はほぼ確実に元本割れします。さらに、保険会社のデフォルト(倒産)リスクの一部も
契約者に負わされています。したがって、保険で運用する場合、
有利になることはほぼありません。特殊な条件としては、相続対策というのはあります。
法定相続人一人につき、500万円の基礎控除が付きますので、
相続税の節税には役立ちますね。ということで、貯蓄性の保険にメリットはほぼないのですが、
強いて言えば強制的に積立が進む、というぐらいでしょうか。ですがそれも、天引きや銀行の自動引落、
あるいは来年から始まる確定拠出年金の制度改正などを
上手に利用したほうが有利で賢いですね。また、詳しくはブログ、メルマガでもお話しようと思います。
それでは、
今後ともよろしくお願いいたします。
なぜ、多くの人が保険で運用するのか?
上を読むと、保険で運用するメリットがない、
もしくは極めて少ないことが理解出来ると思います。
ではなぜ、ここまで多くの人が
保険で運用することを考えてしまうのでしょうか?
それは、主に歴史的な背景があります。
直接投資がしにくかった
また、最近のインデックス投資信託は
その低コスト化がめざましく、
投資家にとってメリットの大きな
商品になってきました。
貯蓄性保険は債券で構成されていることが多いですが、
では「個人が債券を保有するなら債券のインデックスファンドで」
という選択肢が気軽に取れるようになってきたということです。
こうしたファンドに比べて相対的に、
保険会社の手数料が大きく見えるようになってきたわけですが、
このことに気づけている人はまだまだ少ないのかも知れません。
保険会社はこんなこと絶対教えてくれませんからね。
過去にも、高配当を売りに顧客獲得競争をしていた
今から約100年ほど前に世界恐慌がありましたが、
世界恐慌からの復活を意図して生保業界内の
顧客獲得競争が激しくなった時期があります。
そのころ、高配当を武器に販売するスタイルが定着し、
形を変えながら今も続いているというわけですね。
100年以上も続くセールストークですから、
洗練されていないほうがおかしいです。笑
そしてそのセールストークだけで判断した多くの人が
契約してしまう、という図式があります。
保険を含め貯蓄が奨励された
戦時中、「国民貯蓄奨励に関する件」が発表され、
預金や保険料という形で国民の資産を吸い上げ、
それを戦費に充てるということがありました。
今は戦時中ではありませんが、その後、
生活保障という形で保険も加えて
「貯蓄する」スタイルが定着し、
所得控除などを通じて
政府もそれを後押しした面があります。
その遺伝子的な記憶が、
今も続いているわけですね。
政府(国家)としては、保険業界は金融機関
(いざというときのドル箱)として無くてはならず、
微妙な関係にあります。
ただし、個人としてはそんなことは無関係に、
いいものを見極めて、良い商品を選択すれば
いいと思います。
まとめ
遠い昔には、貯蓄性保険が
有利だった時代もあったかもしれませんが、
それはもう過去の話です。
貯蓄をしたいなら、銀行預金か、
債券で運用するぐらいにしておきましょう。
その上でお金の「置き場所」を検討する必要がありますが、
60歳まで引き出す予定がないのであれば、
2017年からほぼ全員使える確定拠出年金が
税制上も非常に有利です。
もしかしたら
確定拠出年金を使うと運用しなければならない!
と思われているかもしれませんが、
それは勘違いです。
確定拠出年金で税制優遇だけ受け、
運用しなければ強力な貯蓄口座となります。
税制優遇だけ見ても、確定拠出年金は
現状最強といえるレベルなんですね。
確定拠出年金の比較記事もアップしてますので、
よければご参考にしてください。
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出典:
生保業界の歴史は「大坪、生保業界の発展と保険政策との関係に関する一考察、ビジネスクリエーター研究、Vol7,2016.6」を参考にさせて頂きました。