医療保険・がん保険 チェックするにはどうしたらいい?
こんにちは、林FP事務所です。
今回はメルマガにお寄せいただいた医療保険・がん保険のご質問にお答えし、さらに医療保険についての考え方について書きたいと思います。
ご質問はこちらです。
私は今、医療保険とがん保険に入っています。
確かに高額医療費は後でかえってきますが、
確か部屋代と食事代は医療費に含まれないはずです。入院すると意外にそこのお金もばかにならない気がするのですが・・・
がんの先進医療とかもすごくかかりそうなイメージで・・・
がん保険に入っていると安心ということを聞くのですが・・・ちなみにこの2つで1万3千円くらいです。
40代になってから見直しをしたので、
その分は高くなっているとは思うのですが・・・
高いですか?ライフネット生命保険はやすいと思いますが、
いざと言うときすぐに対応してくれるかが
不安なところもちょっとあったりします。やすくなったら嬉しいですけどね・・・
(メルマガ読者 F様)
率直にどう思われますか?
ご質問をお寄せいただきありがとうございます。
色々な内容がありましたが、「医療保険とがん保険がご自身にとって適当かどうか?保険料は適正なのか?」ということに対するご自身の選択に迷いがあるような印象を受けます。
質問に対するお答えは、結論からいうと状況次第であるといえます。
この情報だけではこの方にとってこの保険の保険料が高いか安いか、保障内容が適正かどうか、のコメントは難しいのです。
例えば、同じ年齢の方が同じ保険をかけていたとしても、家族構成や職業、収入によってかけすぎかどうか、というのは変わってくるからです。
では、どのように考えていけばよいのでしょうか?
ご自分の医療保険について考える時の、いくつかのポイントを一緒にチェックしていきましょう。
目次(タップでジャンプ)
Point1:その保険、どう考えて入っている?
まず、その医療保険に加入を決めたとき、どんな風に考えましたか?
なんとなく…日額があれば安心だから、がん保険に入ってさえいれば安心だから、保障が色々ついていてお得、などの理由でで入っていませんか?
または社会に出れば保険はかけておくもの、誰か近しい人が加入していたから、という理由で入っていませんか?
上のような理由で加入されいている場合、現在の加入状況や保障内容を見直した方が良い可能性があります。
まずは保険に入る目的をしっかりと認識しましょう。
保険の根本的な考え方として、「いざという時に対してなえるもの」ということをまず頭に置いておきましょう。
Poimt2:保障内容はどう考える?
保険はいざという時に備えるものということなので、医療保険やがん保険は、もしもけがや病気で入院した時、がんにかかってしまった時、金銭的な助けを受けるために加入するということになります。
では、いざという時のためにどのような保障を準備すればよいのでしょうか。
自分がもし入院した時、自己負担はどれくらいありそうか?公的な保険でまかなえるものはありそうか?まかなえないのはいくらくらい?を考えてみましょう。
まず、病院や診療所に言ったとき、薬を処方されたとき、窓口で払う自己負担は健康保険によって医療費の3割(年齢によっては1~2割)になることはご存じでしょう。
さらに、健康保険制度で良く知られている制度として、ひと月の間に支払った医療費が限度額を超える場合超えた分が支給される高額療養費制度があります。
高額療養費制度は、年齢や所得額に応じて限度額は異なりますが、
例えば69歳以下ので、年収が約370~約770万円の方であれば、
80,100円+(医療費-267,000)×1% が自己負担の上限額となります。
詳しくはこちら( 高額療養費制度を利用される皆さまへ・厚生労働省保険局PDF)
この制度では、支給申請が必要であること、支給までに3カ月程度かかることもあり、利用するにしてもある程度の現金を持っておくことは必要になります。が、この制度があることで医療費自体で莫大なお金がかかることはあまりないということは覚えておきましょう。
また、会社員の方であれば加入されている健康保険で、手厚くカバーできる場合もあります。一度社内の福祉制度も含めチェックしてみるとよいでしょう。
では、入院にお金がほとんどかからないかというとそうではありません。
ご質問の方も書かれてますが、高額療養費制度では支給されない(医療費とはならない)費用があります。
それは、差額ベッド代や食事代、先進医療の費用などです。その他にも、入院時に衣類を買い足したり、交通費など、こまごまとした出費が考えられます。
生命保険文化センターの調査によれば、1回の入院で払った自己負担額は平均20.8万円となっています(同調査で1入院の日数平均が15.3日)。
医療保険でカバーするとすれば、高額療養費と医療費以外の自己負担費用を準備するということになります。
関連:生命保険文化センター・令和元年度「生活保障に関する調査」(令和元年12月発行)
がんの場合は、他の疾病に比べて治療期間が長くなる、経過を長期で見る必要がある、長くかかる場合収が減る可能性もあるなど、お金がかかり続ける傾向にあります。
がんの部位や状況によって入治療方法やかかる金額、治療期間も異なるので具体的にいくら備えておけばよいというのは判断が難しいのですが、がんであると診断された場合、まとまった額(50~200万円など)の給付が受けられるがん診断給付金(がん診断一時金)の保障であれば様々な状況に対応できるので、診断給付金から検討するとよいでしょう。
Point3:ライフステージや死亡保障との関係や家計状況は?保険を使わない選択肢も
また、死亡保障などはかけられているのかわかりませんが、そちらの保険料も合わせると家計に対して多すぎたりはしないでしょうか。バランスを考えると、必要性の薄い保障は削った方が良い場合もあります。
先ほどまでのポイントでは、保険を検討するにあたっての目安のようなお話をしてきましたが、そもそも医療やがんに対する備えを保険でする必要性があるのか、について考える必要もあります。
保険という選択肢にとらわれず、入院費用や治療費の自己負担分が貯蓄でまかなえれば保険は不必要という考え方もあります。
また、他の保障、例えば死亡保障とのバランスも考えましょう。
死亡保障と、医療保険、がん保険で重複している保障部分があれば必要以上にかけている可能性もあります。
そして死亡保障も含めて、必要と思われる保障をあれもこれもと確保しようとした場合、保険料が家計を圧迫することもあり得ます。もしもの場合に備える費用が、もしもではない日常的に必要な家計に対して多すぎる場合、緊急性、必要性の薄い保障は削った方が良い場合もあるでしょう。
家族構成の違いではどうでしょうか。例えばお子様がいらっしゃる場合、まだ小さくてこれから教育費がかかる場合ともう大学生になって教育費のピークが過ぎた場合では死亡保障の必要性も変わってきます。
その方にとってどれくらいのリスクがあるか、それに対してどこまで保険で準備するか、または貯蓄をしていくか、はつまるところライフプランによってさまざまなのです。
だからこそ、なんとなくの雰囲気や、加入が当然という先入観にとらわれず、保険を比較検討していきましょう。