ジュニアNISA(子どもNISA)は子どもに悪影響も?ご利用は計画的に。
こんにちは。林FP事務所の林です。
日経新聞電子版(会員向け記事)にNISA子ども版、16年にも 親世代の投資促すという記事が掲載されました。
子供版のNISAは昨年末から議論されていましたが、
実現に向けて大きく動き出したことになります。
特に金融界隈では歓迎ムードが強いようですが、
素直に喜んでいいわけでもなさそうです。
メリット、デメリットをまとめてみました。
(この記事の内容は一部古くなっていますので、
子供NISA(ジュニアNISA)のまとめ、2015年版。他の贈与制度との比較もしてみました。
も参考にしてください)
子供版NISAの特徴とメリット
詳しくは日経の記事を読んでいただきたいのですが
子供版NISAの特徴を整理すると
- 年間100万まで、課税対象は贈与税
- 対象年齢は0〜18歳、この間は非課税での引き出し不可
- 18歳以降は大人版同様の扱い
今後NISAが段階的に延長、恒久化されれば、
最長18年間、非課税口座の恩恵が受けられます。
長期運用では非課税口座によるメリットがかなり大きいので
これは素直に喜べますね。
また、大人版と大きく異なるのは黄色い部分で、
基本は18歳になるまで引き出さずに運用しなさい、
という意図のようです。
この制約も非常にいいですね。
当たり前ですが運用は大人が代行しますので
何かと引き出しの誘惑がありそうですから(苦笑)
大きな利益がでたときでも大人が勝手に引き出さないよう、
もちろん子供も引き出さないよう、
こうした制約を課すのは必須だと思います。
最大1800万円の贈与枠は諸刃の剣?試されるのは親世代
0歳から18歳になるまで、フルにNISA枠を活用したとすると
出資額は1800万円となります。
(ただしNISAが今後恒久化すると仮定して)
最大1800万円は非常に大きな贈与枠で、
子供への影響に細心の注意を払う必要があります。
たとえば「となりの億万長者」という書籍にはこんなデータが掲載されています。
親から金銭贈与を受けた子供の、受けなかった子供に対する資産形成割合
会計士 57%
弁護士 62%
広告/営業職 63%
…
この数値は、贈与を受けなかったグループが形成する資産に対して
どれぐらいの資産規模かを示していて
100%以下ということは
贈与を受けた子供は受けない子供に比べて資産が少なくなる
という事実を表しているわけです。
会計士などは、贈与を受けないグループの半分程度ですから、
いかに子供への贈与が悪い影響をおよぼしているかが伺えます。
これは米国のデータですから日本では少し事情が異なるかも知れませんが、
日本も似たような傾向はあるでしょう。
贈与を受けているにもかかわらず、
資産額が少ないとは一体どういうことか?
端的に言えば、
与える以上に子供が「浪費家」になってしまう可能性が高い
ということです。
よく、金持ちの親が子供を甘やかして
自立できない子供に育ててしまう、なんてことを聞きますが
データでもそれが裏付けられているといえるでしょう。
子供の将来の幸せを願う親にとって、
これは頭の痛い問題ですね。
しかも子供版NISA(子供用証券口座)経由だと
18歳の時点で自動的に本人が引き出せるようになってしまうので
それが理想的な贈与かどうか、事前によく検討する必要があります。
「となりの億万長者」でも、贈与の時期は
子供が自分で稼いで自立できるようになってからにすべき
と指摘しています。
子供が自立するまで自分の寿命が持たない!ということであれば
信託を利用して子供が自立する、あるいはその年齢に達するまで
贈与を行わないよう第三者に信託する、というのが資産家の間では一般的のようですね。
だとすれば、事実上18歳での贈与となる
子供版NISAは厄介な問題をはらんでいると
いえるのではないでしょうか。
非常に効果的に資産贈与できる可能性のある、NISA子供版。
しかし子供への贈与の影響を考えるならば、
子供が自立できるようきちんと教育しながら
慎重に活用していく必要がありそうです。
子供版NISAで頭を悩ますのは
大人のほうなんですよね。
投資枠拡大、恒久化が大きなメリット
実は今回のニュース記事で目を引いたのは
どちらかというと子供版NISAではなくて、
- 年間200〜300万へ投資枠を拡大
- 段階的に期間を延長していく
の方でした。
将来的にNISAが恒久化していけば
英国のISAのように長期資産形成の非課税口座として
定着していくかもしれません。
課税繰り延べ効果は大きいですので、
国税は、国民にたっぷりと稼がせておき
あとで消費税や相続税などで回収すればいいでしょう。
その方が国民の満足度も高いというもんです。
(まぁ、賢明な資産家はそれすら回避するようですが…)
ということで今後もNISAの活用を
真剣に検討していきたいと思います。
子供NISA(ジュニアNISA)の最新記事も併せて御覧ください。