ASTAR zkEVMって何?日本のコンテンツと相性抜群のEVM系Astarの始め方!

こんにちは、林です。

暗号資産を扱うためのASTAR zkEVM(アスタージーケーイーブイエム)というチェーン(ネットワーク)はご存知ですか。2024年3月6日にローンチされた新興チェーンで、後発らしく様々な利点を備えています。

特に日本のコンテンツを発信するプラットフォームとするビジョンがあり、日本人にとって有益なチェーンの一つと言えます。

またメタマスクさえインストールしておけば追加のひと手間だけで使えるので、使い始めるストレスも少ないです。

Astar zkEVMの特徴と始め方を解説します!ついでにAstar Network(EVM)の始め方も解説します。

※本記事は紹介リンクを含みます

Astar zkEVM(アスタージーケーイーブイエム)ってなに?

ASTAR zkEVM(アスタージーケーイーブイエム)の前にAstar Networkに軽く触れておきます。

Astar Networkはスターテイル・ラボ(渡辺創太CEO)が開発したパブリックブロックチェーンで、各チェーンの相互接続性の向上を目指したポルカドットの一部(パラチェーン)として実装されています。なのでイーサリアムとの相互運用性も持っています。

とはいえ、イーサリアムメインネットと同様に使えるかというと、いろいろ課題があります。

たとえばAstar Networkの基軸通貨はASTRで、ETHではありません。イーサリアムメインネットの基軸通貨はETHであり、基軸通貨が異なります。これが体験の違いを生み、学習コストが増えたり、新規参入者のハードルになっていると思われます。

そこでASTAR zkEVMの登場です。

Astar zkEVMの特徴

Astar zkEVM は次の特徴を持っています。

  • 日本市場とグローバルのプロジェクトや企業、開発者との架け橋となる。
  • 高い EVM 等価性
  • ゼロ知識技術を通した高いスケーラビリティ
  • Ethereum から継承したトラストレスな相互運用性とセキュリティ
  • Ethereum メインネットと比較して明らかに削減されたトランザクションコスト
Aster Docs Aster zkEVM FAQs よりAI翻訳による抜粋

Astar zkEVMの基軸通貨はzkEVM上の「ETH」です。後ほど説明しますがこのzkEVM上のETHはイーサリアムメインネット上のETHをブリッジすることで入手できます。

特に高いEVM等価性とゼロ知識証明技術(zk技術)を組み合わせることは従来不可能と言われていましたが、Polygonがこれを解決する革新的な発明をし、Astar zkEVMはその技術を活用したチェーンとなりました。

難しい言葉が並んでますが、一つ一つ紐解いていきましょう。

企業、開発者との架け橋については、後ほど説明します。

高いEVM等価性

EVM等価性の「EVM」ですが、これはEthereum Virtual Machien(イーサリアム仮想マシン)の略で、イーサリアムのコントラクト(自動化プログラムのようなもの)をそのまま実行できる環境を言います。

続く「等価性」はその仮想マシンがイーサリアムとどれぐらい互換性を持っているかを示し、等価性は等価、すなわち同じを意味します。

「高い」とあるので完全等価ではありません。ですが高いEVM等価性を持つAstar zkEMVはイーサリアムのプログラムが一部を除き問題なく動作します。

つまり、イーサリアムネットワークが持つ資産をそのまま活用することができるので、Astar zkEVM上の開発効率とスピードが高まるわけです。

高いスケーラビリティ

次に「スケーラビリティ」ですが、これは端的に言えばAster zkEVMの処理が増えたときに、問題なく対応できるようにできるかどうかをいいます。例えば1秒に1回の処理と10回の処理では単純計算で10倍の処理能力が必要です。

企業のサービスであれば処理するサーバーの能力を10倍にして対処すればいいですが、ブロックチェーンの場合は処理を「分散(分担)」しているので、話が簡単ではありません。

Astar zkEVMはレイヤー2といって、最終的な処理結果をイーサリアムメインネット(以下メインネット)に報告します。そのため、メインネットが混雑するとAstar zkEVMもその影響を受けるんですね。例えば銀行の支店(Astar zkEVM)の業務結果を本店(イーサリアムメインネット)に報告に行き、本店がすいてたらすぐ終わりますが、混雑してたら待たされるのと同じ理屈です。

イーサリアムメインネットはスケーラビリティの問題を抱えていて、メインネットの処理量が増えるとすぐに混雑してしまいます。つまり本店は混雑しやすいんです。

そこでゼロ知識(Zero Knowledge、zk)技術の出番です。超ざっくり説明すると、とても少ない情報量(ゼロ知識)で「正しく処理したことの証明」を相手に伝える技術です。この方法により、メインネット(本店)への報告を最小限にできるので、メインネット自体が混雑していてもAstar zkEVM(支店)はその影響を受けにくいのです。

トランザクションコストの削減(約100分の1!)

最後に削減されたトランザクションコストですがこれは簡単で、要はガス代(手数料)が少ないということです。使ってみた感覚ではイーサリアムメインネットに比べて100分の1ぐらいに削減されている印象でした。

実際に送金処理を試してみると

イーサリアムメインネットのガス代(約395円)
Astar zkEVMのガス代(約2.7円)

メインネットの372円に対し、Astar zkEVMのガス代は2.7円と約140分の1になってます(1ETH=54万円として)。

これは嬉しいですね!

ASTRトークンにとってのAstar zkEVMのメリットは?

AstarといえばASTRトークンです。Astarへの投資手段の一つとしてASTRトークンは欠かせません。ではAstar zkEVMの登場で、ASTRトークンはどうなるのでしょうか。

トークンの買い取りと削減

Astar docsのzkEMV FAQsに、ASTRトークン保有者にとってのAstar zkEVMの価値についての説明が画像付きで掲載されていました。

Astar docs zkEVM FAQsより引用

英語がわかりにくい人のために、Google翻訳による結果がこちら。

日本語もわかりにくいですが、ASTR保有者(投資家)にとっての最も分かりやすいメリットが右上の「買い戻して燃やす(削減する)」です。

要はAstar zkEMVからのETHガス代等の収益を使って、ASTRを市場から買い戻し、バーン(削減)する費用に充てるということです。

ASTRのトークノミクスはインフレモデルですので、何もしなければ価格下落の圧力が常に発生します。Astarネットワークの利用者が増えてASTRトークンの需要の伸びがインフレ率以上に高まれば価格が上昇しますが、需要がインフレ率を下回れば価格が下落します。

ここでAstar zkEVMからの収益を使ってトークンを買い戻して削減することができます。削減されれば、ASTRトークンの希少価値が上がり、価格が上昇しやすくなります。これはインフレによる価格下落圧力を緩和し、ASTRトークンの価格を安定、または上昇させる力になります。

このように、Astar zkEVMの利用が広がれば広がるほど、ASTRトークン保有者にも価格上昇しやすくなるメリットがあるわけですね。

日本企業やコンテンツの橋渡しが加速する可能性

Astar zkEVMの特徴の最初にあるとおり「企業、開発者との架け橋」という特徴があります。

zkEVMに限らない話なのですが、Astarは渡辺創太氏が日本人である強みや、これまでのロビー活動の強みを活かし、日本の企業やコンテンツなどとコラボすることが多いです。日本発のパブリックチェーンプレイヤーとして、少なくとも国内では圧倒的なプレゼンスとシェアを誇っています。

また日本はマンガやアニメなどのIP(知的財産)が豊富で、これらのIPをWeb3でどう活用し産業につなげていくかという取り組みにも積極的です。

例えばAstar zkEVMローンチ記念企画の「Yoki Origins」では、日本人クリエイターのNFTが無料(ガス代のみ)で入手可能となっています。

Yoki Origins公式ページより

ファイナルファンタジーのキャラクターデザイン等を手掛け、世界的に著名な画家・アーティストの天野喜孝氏のCANDY GIRL の1周年記念NFTも入手できます。

Yoki Originsより筆者が入手したNFTのひとつ

このようにAstar zkEVMを通じて世界中に日本のコンテンツが広まり、Astarだけでなく、日本企業や産業、クリエイターの経済が拡大する可能性を秘めています。

Astar zkEVMには他にも様々な利点があるのですが、長くなるのでこれぐらいで。

ということでAstar zkEVMをどんどん使っていきましょう!

Astar zkEVMを使い始める方法

前置きが長くなりましたが、早速Astar zkEVMを使っていきましょう。

Astar zkEVMを使うためのステップ

  1. Astar zkEVMはメタマスクウォレットで使えます。メタマスクをインストールし、Astar zkEVMの設定をしましょう。
  2. Astar zkEVMのガス代はAstar zkEVM上のETHで支払います。Astar zkEVM上のETHは、イーサリアムメインネットからブリッジして入金します。

メタマスクウォレットをインストールする

メタマスクのインストール方法はおもちさんの「おもちの美学」のこちらの記事が分かりやすいです。

MetaMask(メタマスク)をChromeにダウンロードしてウォレットを作成する方法おもちの美学

MetaMask(メタマスク)をChromeにダウンロードしてウォレットを作成する方法について画像付きでわかりやすく解説します。

メタマスク以外のウォレットでも、ETHを扱えるウォレットであればAstar zkEVMが使えます。詳しくはそれぞれのウォレットの説明を参照してください。

以下は最もポピュラーなメタマスクを前提に解説します。

メタマスクにAstar zkEVMネットワークを追加する

メタマスクをインストールできたら、Astar zkEVMネットワークをメタマスクに追加しましょう。

メタマスクアイコンから画面を開き、左上の「ネットワークの選択」メニューをクリック。

下にある「+ネットワークを追加」をクリック。

「ネットワークを手動で追加」をクリック。

こちらの画面になりますので、以下の通り入力して「保存」してください。

コピペ用にテキストも置いておきます。

項目入力内容
ネットワーク名Astar zkEVM
新しいRPC URLhttps://rpc.startale.com/astar-zkevm
チェーンID3776
通貨記号ETH
ブロックエクスプローラーのURLhttps://astar-zkevm.explorer.startale.com/

以上でメタマスクからAstar zkEVMが使えるようになりました。メタマスク左上のネットワーク選択メニューから切り替えて利用してください。

メタマスクにAstar EVMネットワークを追加する

ついでにAstar Networkメインネット(Astar EVM)もメタマスクに追加しておきましょう。Astar EVMとAstar zkEVMはとても似ていますが、異なるネットワークです。

例えばメタマスク経由でASTRトークンをステーキングする場合は、こちらのAstar Network メインネット(Astar EVM)が必要になります。

手順はAstar zkEVMと同じで、ネットワーク追加時の入力項目が以下となります。

項目入力内容
ネットワーク名Astar Network Mainnet
新しいRPC URLhttps://evm.astar.network
チェーンID592
通貨記号ASTR
ブロックエクスプローラーのURLhttps://blockscout.com/astar

Astar zkEVMにETHを入金する

メタマスクのイーサリアムメインネットワークに既にETHがある前提で、そのETHをAstar zkEVMに入金する方法を解説します。

メタマスクにETH(イーサ)がない状態なら、次に進む前にETHを準備してください。

メタマスクのイーサリアムメインネットワークにあるETHをAstar zkEVMに入金するために「ブリッジ」という方法を使います。ブリッジとは異なるネットワークにトークンを転送する方法です。

で、Astar zkEVMに転送する場合はAstar公式ポータルが提供しているブリッジサービスを利用するのがお勧めです。

Astar公式サイトの「ブリッジサービス」一覧

上段にある「Native Bridge」が公式ブリッジで、最も信頼性が高いですが、コストもそこそこかかります。

下段は公式ではなく第三者のブリッジサービスですが、早くて低コストです。少額なら下段のサービスでいいでしょう。今回はLayerswapを利用します。

Layerswapのサイトを開き、メタマスクを接続します。

メタマスクを選択。

以下の画像を参考に入力します。

「転送先のAstar zkEMVアドレス」は、接続したウォレットと同一アドレスで大丈夫です。入力欄をクリックすると、選択肢が出てくるのでクリックして選択してください。

以上全て入力できたら「Swap now」ボタンでブリッジを開始しましょう。

ブリッジが完了したら、右上のメニューから詳細を確認してみましょう。

Transfersを選択。

一覧から該当するものをクリック。

こんな感じで詳細を確認できます。StatusがCompletedになっていれば成功です。

正しく着金しているか確認してみましょう。

メタマスクの「ネットワークを選択」をクリック。

Astar zkEVMを選択。

イーサリアムの残高が増えていれば成功です。

これでAstar zkEVMにETHを入金することができました。

早速Yoki Originsに接続して遊んでみましょう!

Astar NetworkにASTRトークンを準備しよう

Astar zkEVMだけを使うなら必要ありませんが、Astar Networkメインネットも今後使うなら、準備しておいて損はありません。

Astar Networkの基軸通貨はASTRトークンです。

ですのでAstar NetworkにはASTRを用意する必要があるんですが、これが結構ハードル高く、初心者の障壁になっています。もう少し、どうにかならないものか…と思いますけどね。

例えば現実世界で海外旅行に行ったときに、ドルが必要なら円からドルへ交換をすると思うのですが、このときに「まず手数料のドルが必要です」って言われて、いや手持ち日本円しかなくて詰む。みたいな現実世界ではありえない問題が暗号資産の世界では平気で放置されています。いやいや、そのドルを手に入れるために今交換お願いしてるんやん!って叫びたくなりますが(笑)…さすがにこれは改善されるべきですね。

すいません、いくつかの日本の取引所(GMOコインなど)のASTRトークンをメタマスクに直接送付することでAstar Network(EVM)にASTRトークンを入金できます!

例えばGMOコインでASTRトークンを買ってメタマスクに送付するのが最短で一番簡単だと思います。

GMOコインの説明は本記事では省略しますね。簡単ですので、特に説明せずともできると思います。

ここではAstar zkEVMを経由する方法をご紹介します。

手順は

  1. Astar zkEVM上のETH(準備済)をAstar zkEVM上のASTRに交換する
  2. Astar zkEVM上のASTRをAstar Networkにブリッジする

です。

Astar zkEVM上のETHをASTRに交換する

先ほど、Astar zkEVM上にETHを用意しました。このETHをAstar zkEVMのASTRトークンに交換します。

今回、ETH→ASTRの交換にQuickswap分散型取引所(DEX)を使います。Quickswapは早くからAstar zkEVMに対応したDEXの一つです。

Quickswapにアクセスし、画面上のメニューからメタマスクウォレット接続および「Astar zkEVM」ネットワークに切り替え後「Enter App」をクリック。

こちらを参考に入力してください。

  1. 交換元の暗号資産。ETHを選択
  2. 交換先の暗号資産。ASTRを選択
  3. 交換元の数量を指定
  4. 交換開始

この記事では詳しく説明しませんが、ASTRのステーキングをしたい場合、最低数量が500+10ASTRになります。ステーキングが目的なら510ASTRを超える数量になるよう交換しましょう。ただしAstar zkEVMのガス代用のETHが必要ですので、全てのETHを交換しないようにしてください。

以後の画面指示にしたがい交換を完了してください。完了したらメタマスクのトークンタブからASTRが着金していることを確認しましょう。

これでAstar zkEVM上にASTRトークンを用意できました。

もしASTRトークンが表示されていない場合はAstarポータルを開き、ウォレットを接続してAstar zkEVMネットワークを選択。Assetsページにある「ASTR」の欄にある「Add to wallet」で表示追加できます。

Astar zkEVM上のASTRをAstar Networkにブリッジする

続いてAstar zkEVM上にASTRトークンをブリッジでAstar Network(EVM)に転送します。

今回はAstar LayerZeroブリッジ(Stargate)を利用します。AstarポータルのBridgeページにリンクがありますので、確認してください。

Stargateブリッジのページを開き、メタマスクウォレットを接続してください。その後以下を参考に入力します。

  1. 転送元のトークンとネットワーク。トークンはASTR、ネットワークはAstar zkEVMを選択
  2. 転送先のトークンとネットワーク。トークンはASTR、ネットワークはAstarを選択
  3. 転送するASTR数量を指定。Astar zkEVMにASTRを残す必要はないので、MAXでOK。
  4. 転送開始

実際の転送には数分かかるようです。

これでAstar zkEVMのASTRをAstar Networkへ転送できました。メタマスクにトークンが表示されない場合は、Astar zkEVMのときと同様に、Astar Network(EVM)にASTRを表示追加してください。

Astar zkEVMって何?初心者のためのAstar zkEVM始め方まとめ

渡辺創太氏率いるスターテイル・ラボが開発したAstar zkEVM(スタージーケーイーブイエム)というイーサリアム互換のL2ネットワークの初心者向け始め方について解説しました。

日本人企業らしくAstarは日本企業や日本の自治体と関係性が深く、Astar zkEVMはさらにイーサリアム互換で使いやすく、かつ低コストなネットワークとなっています。

Astarは日本のマンガやアニメ、ゲームなどのコンテンツを世界に発信するためのプラットフォームとなるビジョンを掲げており、Astar zkEVMもその役割を担う可能性があります。

執筆時点ではまだリリースされたばかりですが、今後人気のネットワークとなる可能性もありますので、今のうちに触っておくといいことがあるかもしれませんよ!

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