「ラップ口座はどうなんですか?」という相談について。初心者が陥りがちな間違いとは?

最近、色々な方に「ラップ口座はどうなんですか?」と
聞かれることが増えた
ように思います。

僕自身、ラップ口座には全く興味がなかったのですが
ここまで聞かれると、さすがに無視するわけにもいかず
ちょっと調べてみました。

超富裕層が利用するプライベートバンクを彷彿(ほうふつ)とさせる
ラップ口座に魅力的なイメージを重ねがちですが
さて、その実力は如何程のものなのでしょうか…

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ラップ口座って何?

さて、その資産残高が増えまくっていますラップ口座ですが、
ネットで検索するといろいろ記事が出てくるはずです。

ここで詳細に比較しても良かったのですが、調べれば調べるほど
詳細比較するほどの価値はないということが分かったので
簡単に大手のものだけをまとめておきます。

大手証券会社のラップ口座比較
  野村証券 大和証券 SMBC日興証券
プラン 野村ファンドラップ(バリュー) 野村ファンドラップ(プレミア) ダイワファンドラップ 日興ファンドラップ/SMA
特徴 パッシブファンド アクティブファンド 国際分散投資 国際分散投資
最低資金(万円) 500 1000 300 300
年間手数料 0.4104~1.296%(※1) 最大1.512%(※2) 1.296%(※1,2)
その他 4回/年のリバランス 3か月毎の報告書/円預金セットプラン等 ヘッジファンド等の扱いも

※1 その他運用ファンドの信託報酬等が別途必要
※2 資産5,000万円以下の部分

要点は

  • 投資一任契約できる(ただし一任するのはファンドでも同じ)
  • 顧客の要望に応じてポートフォリオをオーダーメイドできる
  • 売買手数料はかからない
  • その代わり資産に対して手数料がかかる

ラップでも長期的な資産形成(長期投資)を目指しますから
大切なのはポートフォリオと年1のリバランスぐらいで
本来売買手数料が膨らむことは無いはずです。
(ちなみに年4回のリバランスは過去データから見れば損です)

にもかかわらず預かり資産に対して手数料がかかるのは
合理的な手数料体系とは言えず、残念ながら、
お世辞であってもお勧めできません。

信託報酬が低くて良心的なバランス型ファンド、
例えばセゾン投信等を買って放置すれば
ほぼ同じことがより低いコストでできるでしょう。

したがって顧客メリットはほとんど無く、
金融機関側の手数料稼ぎの側面が強いです。

どうしてもオーダーメイドのポートフォリオを構成したければ、
例えばカン・チュンド氏のような良心的なFPを探して
相談されるほうがよっぽどお得で合理的でしょう。

本当に資産を増やしたいなら、
ラップ口座はお得ではありません。

初心者が陥りがちな誤解

ラップ口座に興味があるのは投資初心者だと思われますが

年間手数料1.3%ぐらいでそんな大袈裟な…

と思いがちです。

でもよく見ると1.3%に加え、超過利益を得ようとするなら
アクティブファンドのコスト(信託報酬等)も加算されてしまいます。

アクティブファンドの場合、そのコストは1.5%程度のことが多いですから
1.3+1.5=2.8%のコストがかかってしまうわけです。

仮に年間2.8%かかるとしましょう。

例え300万でも2.8%といえば8.4万円。
10年間、資産額が変わらないとすれば、それだけでマイナス84万円
パフォーマンスにしてマイナス約28%になります。

その10年間、インデックス運用に加えて+28%の
超過利益が無ければ、ファンドラップに運用を託す意味は
ないことになります。
(超過利益とは、パッシブ運用のさらに上積み利益のこと)

実際には、これは結構大変な数字です。
これを達成できるファンドマネージャーは、
かなりの凄腕といえるでしょう。

さらに複利効果も併せて考えると、
年間2.8%というコストはやはり大きすぎると
言わざるを得ません。

それならまだ、信託報酬が1.0%前後の
バランス型ファンドに投資しておいたほうが
コストも手間も掛からず、良好な結果が得られる
可能性が高いわけです。

運用が長期になればなるほど、また預ける金額が大きくなるほど、
手数料(コスト)の負担が大きくなります。

プロの現場では0.01%単位でコストを削っているということも
ぜひ覚えておいて欲しいと思います。

ベンチマークと比較しましょう

ラップ口座に期待を寄せておられた方には申し訳ないのですが、
現状のファンドラップはメリットが小さく、デメリットが大きいです。

ただ、将来的に価値のあるラップ口座が現れないとも限りません。
スイス系のプライベートバンクのようなサービスが日本でも現れれば、
富裕層にとっては確かに嬉しいかもしれません。

そこで、ラップ口座を選ぶポイントについて
ご指摘しておきたいと思います。

それは、ラップ口座の過去のパフォーマンスを聞いて

必ずベンチマークと比較する

ということです。

もちろん手数料を引いた後のパフォーマンスで。

実際担当者に聞いてみて、もし回答をうやむやにされるようであれば
何か聞いて欲しくない事情があるのでしょうから、
そういうところにお金を託すべきではないでしょう。

過去のデータが未来を保証してくれるわけではありませんが
少なくとも過去の実績がしょぼいところを選ぶ根拠はありませんし
さらにいえば過去実績もないようなところは選べないです。

そういう意味では、最近始まったばかりのラップ口座は
その実績が把握しづらく、そうしたラップ口座に飛びつくのは
合理性がありません。

一般に、アクティブファンドが平均的には手数料分、
インデックスファンドに負けているという過去のデータがありますから、
ラップ口座だからといってインデックス運用以上に儲かるといった
理論的根拠もありません。

無論、たまたま優秀なマネージャに遭遇して
うまくいくという幸運を否定するものではありませんが
少なくない金額を預けるわけですから、
そのラップ口座の「過去の正しい実力」を
把握する努力は必須でしょう。

ご自身でベンチマークと比較出来ないのであれば、
ラップ口座の担当者に直接

  • ベンチマークからどれぐらいアウトパフォームしていますか?
  • ベンチマークに比べてどれぐらいシャープレシオが高いですか?

の2点を問えばいいと思います。
何度も言いますがコストを除いたあとの実質ベースで、です。

これを聞くのすら気が引けるようなら
ラップ口座には近づかないのが賢明でしょう。

ただし仮にこの2点が良かったとしても、
未来も同様に良いことは保証されませんので
その点も注意してください。

イメージに惑わされないように!

ラップ口座選択のポイントをまとめると

  • ベンチマークと比較する。ベンチマークよりどれぐらい儲けたかと、そのリスク比(シャープレシオ)も確認する。
  • 少なくとも3年以上の実績があるところにする。相場が下落しているときのデータもあるとベター。
  • これらのデータを出せないところとは取引しない。

これらはあくまでも過去の実績の確認ですが
これをクリアして初めて「取引の検討を開始できる」状態です。

ファンドラップほど明確にメリットの少ない商品も珍しいですが、
それでも「ラップ口座はどうなんでしょうか?」と相談される方が多いのは、
太鼓持ち的情報を発信している人も多いからだと思います。

マスメディアは中立的な記事を書かざるを得ませんから
まだしょうがないとして、
FP等であっても金融商品から手数料を受け取っているような場合は
顧客と利益相反が起きやすいので要注意です。

つまり、ラップ口座のような手数料の高い(顧客に不利な)商品に
誘導される可能性もあります。

ラップ口座、一任勘定、プロにお任せ…。

どの言葉も、「楽して稼げそう」
というイメージを浮かび上がらせます。

ですが、良いイメージだけで儲けられるほど
投資の世界は甘くないということを
もう一度思い出してください。

今まで投資の「と」の字も知らなかった初心者が
退職金という「大金」をもらったタイミングが
一番危険です。
(言葉は悪いですが、カモにされやすい)

特に今は株価が堅調で、インフレによる預金の実質目減りも吹聴されて
「いまがチャンスですよ」
という言葉に惑わされがちです。

(本来は下がった時こそチャンスなんですけどね)

プロの投資も、個人の投資も、実態はさほど変わりません。
以下の順序で、検討されればいいと思います。

  • あなたが取れるリスクはどれぐらいですか?
  • リバランスができるなら、インデックス運用が低コスト
  • リバランスが面倒なら、できるだけ低コストなバランス型ファンド
  • 相談したければ、良心的なFP等を探す努力を。

あなたの大切な、虎の子の退職金。

焦って投資する必要は全くありません。
ゆっくり時間をかけて、検討してください。

正直、ラップ口座を検討するヒマがあったら、
こっちを検討したほうがインパクトが大きいでしょう。


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「ラップ口座はどうなんですか?」という相談について。初心者が陥りがちな間違いとは?” に対して1件のコメントがあります。

  1. @sakura0840132 より:

    「ラップ口座はどうなんですか?」という相談について。初心者が陥りがちな間違いとは? http://t.co/Zczpvbc76S

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