新興国債券に投資したい!ファンドとETFの正しい選び方
![](https://h-fpo.com/wp-content/uploads/2014/09/EB082_L1.jpg)
こんにちは。林FP事務所の林です。
新興国の株式と債券。
新興国株式についてはよく話が出てきますが、
新興国の債券って何?
という方も多いかも知れません。
若干マイナーな商品で、
新興国債券への投資の意味合いについては別の機会にゆずりますが、
今回は新興国債券へ分散投資するファンドとETFを比較検討してみました。
他のファンド、ETFの比較の参考にもなるはずです。
比較の視点
ファンド、ETFの比較はいろんな視点があります。
資産規模、運用の効率、コスト、運用会社の信用等々。
これらを比較して全て満点のファンド、ETFがあれば
文句なく決まりますが、大抵メリット・デメリットがありますので
総合的に判断していきます。
この記事で比較するのは共に日興アセットマネジメントが運用する
です。
いずれも新興国債券のインデックスファンドですが、
ベンチマークとなるインデックスが異なっているので、
比較には少し注意が必要になります。
(詳しくは後ほど)
なお、名前が長いですので、以下それぞれ
「新興国債券ファンド」または単にファンド、
「新興国債券ETF」または単にETFと書くことにします。
文脈上、ファンドとETFを合わせてファンドと書くこともあります。
ファンド、ETFの特徴と資産規模
新興国債券ファンドは
「JPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス・エマージング・マーケッツ グローバル・ディバーシファイド(円ヘッジなし・円ベース)」
という、非常に長ったらしい(笑)名前のインデックスをベンチマークとする
インデックスファンドです。
2008年4月から運用されていて、純資産額は18.8億円です。
一方新興国債券ETFは
「バークレイズ自国通貨建て新興市場国債・10%国キャップ・インデックス」
という、先程に比べたらすっきりした名前(?)のインデックスがベンチマークの
インデックス上場投信(ETF)です。
こちらは比較的新しいETFで、2012年1月から運用開始、
純資産額は31億円と若いながら健闘しています。
資産規模に関してはETFが若干、良さそうです。
トラッキングエラー
トラッキングエラーというのはベンチマークと基準価格との乖離(開き)
のことで、トラッキングエラーが小さいほど一般に良いファンドです。
運用レポート、決算報告書等にある数値を参考に、
トラッキングエラーを可視化したのがこちらです。
![2014-09-23 14.48.59](https://h-fpo.com/wp-content/uploads/2014/09/2014-09-23-14.48.59.png)
![2014-09-23 14.49.44](https://h-fpo.com/wp-content/uploads/2014/09/2014-09-23-14.49.44.png)
グラフのギザギザがだいぶ違いますが、
ファンドは月次、ETFは日次のデータが公開されており、
ETFの方が30倍ぐらい細かいデータになっているためです。
こうしてみると、微妙ではあるんですが
インデックスの下落時は基準価格の下落幅が小さく、
インデックスの上昇時は基準価格の上昇幅が小さいという、
インデックスよりもやや小さいリスクを取っているように見えます。
もちろん基準価格にはコストが乗っていますから、
長期的に指標を下回っていくのは仕方がありません。
上のグラフは1年間を通したトラッキングエラーですが、
期間を変えたときの乖離率についてもグラフ化してみました。
![2014-09-23 14.50.13](https://h-fpo.com/wp-content/uploads/2014/09/2014-09-23-14.50.13.png)
ファンド、ETFとも直近の方が過去よりも乖離が小さく、
資産が増えるに従って運用が効率化していると言えます。
ただ、ファンドの乖離が大幅に小さくなっていて、
ETFよりもファンドの方がさらに効率的と言えます。
ベンチマークとなる指標の騰落率は
1年で見て0.1%程度の違いしかなく、
双方ほとんど変わりません。
しかし、ETFの方が資産が大きいにも関わらず乖離が大きいのは
指標そのものが運用効率に影響を与えている可能性もあります。
トラッキングエラー(乖離)については
今後も注視していく必要がありそうです。
まだまだコストは高い…
経費系のコストについてもまとめてみました。
新興国債券ファンド | 新興国債券ETF | |
---|---|---|
購入時コスト | 0 | 株式取引手数料 |
信託報酬率 | 0.56% | 0.49% |
その他経費 | 0.75% | 0.10% |
実質年間コスト計 | 1.31% | 0.59% |
ファンドの方は信託報酬以上にその他経費が大きく、
実質的に1%を超えるコストになってしまっています。
ETFはその他経費の実績が分からないのですが、
目論見書によれば0.1%上限となっていたので
そこから計算すればファンドの半分以下です。
一方、先程のトラッキングエラーの調査では
ファンドの方が効率よく運用できていますし、
ETFは購入コストもかかるので、ファンドのほうが良さそうです。
以上の検討結果を表にまとめてみました。
新興国債券ファンド | 新興国債券ETF | 判定 | |
---|---|---|---|
運用開始 | 2008年4月 | 2012年1月 | ファンド |
純資産規模 | 18.8億 | 31億 | ETF |
トラッキングエラー | 1.78% | 4.40% | ファンド |
購入時コスト | 0 | 株式購入手数料 | ファンド |
実質年間コスト | 1.31% | 0.59% | ETF |
ファンドの方がトータルの効率がいいですし、
一日の長はありそうです。
ETFには購入時の流動性低下によるコストもかかります。
実際このETFを購入したときも、やや「滑った」
ような感じがあります。
(あくまで、個人的な感覚でしかありませんが)
ただ、ETFはまだ若く、これからどんどん伸びる可能性もあるので
目が離せない存在ではあります。
新興国債券はマイナーな商品で、まだコストも高く
メインの資産にはなりませんが、
過去にはリーマンショック等の下落時耐性もあって
僕は一目置いています。
今後も注意してみていくことにします。
はじめまして
今年のNISA枠の6割近くを、新興国(エマージング、フロンティア)関連のETFに振り分けていたので、
指標との乖離が不思議でしかたなかったのですが、すっきりしました。ありがとうございます。
livekabu7さん
はじめまして、たろけんこと林です。
ご訪問、ありがとうございます。
お役に立てたようで何よりです^^
またいつでも遊びに来て下さい。