1年で2倍になったなら「おめでとう」といいます。でも二度目はないと思って下さい。
Aさんの悩みです。
Aさんは、前々から始めたいと思っていた
投資を始めました。
うまくアベノミクスの波に乗り、
買った銘柄が1年で2倍になりました。
さらに儲けようと、最初の銘柄を売り、
別の銘柄に投資したら、今度は
半分以下になってしまいました。
このまま売れば損をしてしまうので、
放置しようと思っていますが…?
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Aさんの失敗
実際、こういう状態の人は多いと思います。
あるいは、残念なことですが、
アベノミクスが終わる頃には、
こういう状態の人が
続出するかもしれません。
こうした方法を続けながら
トータルで利益を出せている人はほとんどおらず、
少なくとも僕の知っている範囲では一人もいません。
この事例で考えられる誤りはいくつかあります。
- 再現性がなく、たまたま当たったことを正しいと思ってしまったこと。
- 価値ではなく価格に投資(投機)してしまったこと。
- 行動に一貫性がないこと。
再現性というのは、何度やっても
同じ結果になるという意味ですが
もし何度やっても1年で2倍になるなら
それはもの凄いことですよね。
2倍になることを繰り返せば
短期間で資産を10倍、100倍に
増やしていけることになりますが、
一般的にそのようなことは不可能です。
ですので、そうしたことには
再現性がないと考えるのが
妥当なわけです。
むしろそうしたリスクの大きい投資(投機)を続けていると
人間の行動経済の知見から、
必然的に招かれる大幅な下落に耐えられなくなり
結果、大損をして終わるということが多いようです。
「投資」をどのように捉えればいいか
1年で2倍になったという「結果」は、
純粋に喜んでいいと思います。
ですので、僕はそういうお話を聞いた時は、
素直に「おめでとうございます」と言っています。
ただ、それを続けることは
決してお勧めしていません。
なぜなら、それは
「宝くじを買うこと」
と同じだからです。
宝くじを買って当たれば、
「それはすごい、おめでとう!」
と、誰もが言うはずです。
でもだからといって、
「よーし。これから宝くじをバンバン買って、どんどん稼ぐぞ!」
とはなりませんよね。
僕が言っているのは、
そういうことです。
でも、言葉が単に「宝くじ」から「投資」に置き換わったとたん、
1度当たっただけでバンバン買ってしまう人が多い。
内容は同じなのに、です。
実は一般に言われている投資には2種類あって、
本来は投資(とうし)と投機(とうき)に
分けて考える必要があります。
宝くじを買うような感覚で
株を買うのは「投機(とうき)」です。
一方、株式の価格ではなく価値(かち)に目をつけて
買うのが「投資(とうし)」です。
全く同じ銘柄を、全く同じタイミングで買っても、
投資と投機では別物なんです。
これはとても大切なポイントですので、
忘れないようにしてくださいね。
「株は投機(ギャンブル)だから買うな」
とよくいわれますが、正確には
「投機(ギャンブル)目的で株を買ってはいけない」
ということです。
むろん、僕の説明もかなりいろいろはしょっていますので、
不正確な部分は当然ありますし、
投資と投機のはっきりとした境目も
実際にはありませんから
判断が難しい面もあります。
さらに輪をかけて、
証券会社などは投資という名の投機を
顧客にさせたがります。
(その方が、証券会社の儲けが増えますので)
なので、このワナにハマりやすいんですが、
投資と投機には違いがあるということを知って
行動していけば投機のワナにハマることを
効果的に減らせます。
そして僕が常に意識しているのは
もちろん「投資」なわけですが、
物事の価値というのはそう簡単には
変わりませんので、必然的に「長期」投資となります。
投資と投機の違いを知っておけば、
余計な失敗を防ぐことが出来るはずです。
そしてこの「余計な失敗を防ぐ」というのが
投資においては大切になってくる、
ということもぜひ覚えておいて下さい。
読者からのコメントご紹介コーナー
メルマガ読者さんから頂いたご意見を
ご紹介するコーナーです。
本日はT様から。
論理的で非常に興味深い内容です。
いつも感心しながら読ませていただいております。(T様)
T様、ありがとうございます。
もともと僕は理系、理論派ですのでそういう感じが
文章ににじみ出ているのだと思います^^
ただ、理屈を並べるだけだと
ものすごくわかりにくくなってしまうので、
できるだけ例をあげたりしながら、
理解しやすくなるよう心がけています。
そして、最後は人間ですから、
理論だけでなく、ココロの部分も大切。
理論を理解しながら、ココロに響く
金融リテラシを身につけられたら
最強ですね!