確定拠出年金の運営管理機関を5年で見直し。これは朗報だけど、個人への影響は?

確定拠出年金の運用会社を5年単位で見直すという記事が
日経新聞に掲載されていました。

確定拠出年金の運用会社5年で見直し 厚労省、企業に促す

地味な記事ですが、基本的に競争を促す方向で、
投資家にとってメリットのある話です。

どれぐらいのメリットがあるのか
どれぐらい重要なことなのか
詳しく見ていきましょう。

囲い込まれることのリスク

確定拠出年金は節税メリットが大きく、
運用で老後資産を形成していくなら
利用したい口座の筆頭候補になります。

ただ、一度運営管理機関を決定してしまうと、
その後の変更がしづらく、運用商品が固定化し、
金融機関側で「顧客を囲い込まれる」という問題もあります。

これが生涯でせいぜい数万円とか、そのレベルのコストなら
別に無視しても構わないと思いますが、
数十万円、数百万円となってくると、問題です。

実際、運用商品のコストが異なると
以下のような大幅なコスト増につながることを
過去こちらの記事で指摘しました。

個人型確定拠出年金(個人型DC/iDeCo)、運用商品とコストを徹底的に比較した結果…狙い目はココ!

記事から、コスト増の比較結果を抜粋すると

例えば月額68,000円拠出しながら、
30年間、年利5%で複利運用する条件で、
信託報酬がそれぞれ0.1%、0.2%、0.3%
余計にかかる場合のコストを試算すると
次のようになります。

2014-09-21 12.52.36

信託報酬が平均的に0.3%の場合と0.1%の場合とで
約200万円以上の差となっており、全く無視できません。

信託報酬のような継続的にかかるコストの場合
それ自体が小さな差であっても、期間が長くなると
トータルコストが大きくなってしまう、ということですね。

これと顧客の囲い込みがどう関係しているかというと、
一旦囲い込まれてしまうと金融機関側が競争せず、
「高コストのまま」運用を余儀なくされてしまう可能性が
出てくるからです。

だから、金融機関による顧客の囲い込みは
気をつけないといけません。

運用会社?運営管理機関?

ところで、日経の記事では関連する用語が3つ出てきます。

  • 運用会社:ファンド等を運用する会社
  • 運営管理機関:確定拠出年金を管理、運営する会社
  • 金融機関:上記を含む、一般的な名称

記事のタイトルには「運用会社を見直す」、とあるので
素直に読めば「運用会社」を5年毎に見直す
となります。

ただ、記事の中身を読むと運用会社を見直すのか、
運営管理機関を見直すのか、曖昧な部分があるので
法律の方をチェックしてみました。

確定拠出年金法等の一部を改正する法律案

これによれば、

「運営管理機関の委託に係る事業主の努力義務」の中で、

運営管理機関間の競争を促し、加入者の利益を確保するため、委託する運営管理機関を5年ごとに評価し、検討を加え、必要に応じてこれを変更すること等を努力義務とする

とありますので、
運営管理機関そのものを見直す
ということが分かりますね。

ちなみになんですが、「事業主の努力義務」とありますので
個人事業主や主婦(主夫)が加入する個人型DCの場合は
個々人が責任をもって、運営管理機関を選択、評価し
必要に応じて変更することになります。

これはかなり面倒な作業ですが、上記の長期コストを考えると、
必要なら変更もいとわない、という方針がいいですね。

職域NISAも同じではないか?

確定拠出年金ではありませんが、NISA(少額投資非課税制度)にも
職域NISAというような、金融機関に囲い込まれる恐れがある
場合があります。

こちらも確定拠出年金と同様のリスクがありますので、
今後NISAを恒久制度としていくならば
こちらも定期的に評価、変更していく努力を
企業側に求める必要はあろうかと思います。

職域NISAの同様のリスクについては
過去こちらの記事に書きましたので
興味があればご覧ください。

「天引きNISA」「職域NISA」はサラリーマンの敵か味方か。確定拠出年金とどう違う?

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