世界的に盛り上がるフィンテック投資と個人投資家の関わり方について。
フィンテックが盛り上がっているようですね。
僕は仕事柄、フィンテックの情報も収集しますが、
興味のない人もこれだけ新聞やニュースで取り上げられると、
フィンテック面白そうだな、とか、
AIってやっぱり凄いのかな、とか、
思っちゃいますよね。
投資としてみる場合、
どう考えるべきかについて
書いてみます。
目次(タップでジャンプ)
フィンテックが進化すること自体は素晴らしいこと
そもそも、フィンテックってどういうものか、
具体的なジャンルで挙げてみると
- クラウド家計簿
- クラウド会計
- ロボアドバイザー
- 電子マネー、電子決済、モバイル決済
- ビットコインに代表される仮想通貨(暗号通貨)決済、送金など。関連して、ブロックチェーン技術など
- ユニバーサルクレジットカード(複数のクレカをまとめるカード)
- クラウドファンディング
などがあるようです。
お金まわりの不便や悩みを、ITの力で便利にしましょうよ、
というのが基本コンセプトで、それを実現する技術や
実際に活動している企業等をさして「フィンテック」と
呼ぶようですね。
電子マネーなどは以前から使ってるという方も多いでしょうし、
電子決済もPayPalなんかを想像してもらえればいいでしょう。
逆にユニバーサルクレジットカードなんてのは、
日本ではまだ馴染みがありませんね。
(でも、早く欲しいサービスではある…)
フィンテック自体はそんなに目新しいというものではなく
IT技術がコツコツと金融分野に進出していったら
現状これぐらいのものが使えるようになってきた
という感じですね。
既に使われているサービスがさらに普及し、
さらには新しいフィンテック系ベンチャーが、
より新しい分野での技術開発、サービス提供を
模索しているので、これからも新しい
技術やサービスが普及していくことは
間違いありません。
普及期と成長期に入った、ということでしょうか。
フィンテックへの投資が世界で2.4兆円
フィンテックへの投資に関して、日経に
こちらのような記事がありました。
関連ツイート:
「グローバルAIファンド」などに2000年頃の既視感を覚えるのは気のせいでしょうか…。投資が盛り上がるのは良いことですが、個人は気をつけましょう。
フィンテックへ投資急増 世界で2.4兆円:日本経済新聞 https://t.co/LUNbsmbrFB— 林 健太郎 (@kabuco_h) 2016年9月7日
2.4兆円という金額だけみると
非常に大きく見えますが、
実際にはどんな感じなのでしょか。
ITバブルとの比較
シスコシステムズという会社はご存知でしょうか。
2000年前後にあったITバブルのさなか、
IT関連銘柄の筆頭とされていた企業ですが、
そのシスコシステムズの時価総額が
当時5,000億USドルに達した(ウィキペディア)
という記録が残っているようです。
5,000億ドルというと、1ドル100円で換算すると
50兆円ですね。
一方、フィンテック関連企業の老舗、PayPalは
ITバブルよりも以前の老舗のeコマース企業から
スピンオフして生まれた電子決済サービス会社です。
このPayPalの現在の時価総額がだいたい400億ドルで、
日本円で4兆円ぐらいですね。
それに比べても、2.4兆円の投資額というのは
まだ少ないような気がします。
ITにバブルはその名を歴史に残すぐらい大きなバブルでしたので、
それと比べるのはちょっと違うかもしれませんが、
フィンテックが金融 x ITに限った分野であることを考えても
まだまだ成長の余地は十分ありそうです。
フィンテック関連ファンドとどう付き合うべきか?
投資ですので、最終的には個人の自由なんですが、
過去の歴史を振り返れば、こうした「ブーム」の投資は
ヤメておいたほうが無難で、少なくとも僕はそこに
投資するつもりはさらさらありません。
まず、人間の予想と実際の未来は、異なります。
例えば僕が上に書いたようなことは、
僕と同じかそれ以上の知識をお持ちの方であれば、
誰でも簡単に考えられるぐらいのことです。
要は、少なくとも投資に参加しようとする人なら、
そんなことは「誰でも知っている」
状態なわけですね。
そういう状態で、投資に参加することの意味を
もう一度しっかりと確認してください。
それからもう一つ、こうしたバブル(?)にはつきものの
誇大表現というのがあります。
誇大かどうかは結果論ですので
フィンテックに関して現段階では分かりませんが
例えば以下の二つをご覧ください。
米マッキンゼーは今後10年間で(※1)によって銀行の利益が60%減少し、売り上げが40%減少すると予測しています。(出典A)
(※2)は世界の金融の形を変化させる革命的な通信技術であり……(※2)は資本市場のシステムを根本的に変えることになる。(出典B)
どちらかがフィンテック(現在)のもので、
どちらかがITがバブル当時のものです。
どちらがどっちか、分かりますか?
(ちょっとヒントが入っているので、すぐ分かると思います)
それぞれ答え合わせをすると
上が今回のフィンテック、下がITバブルで、
※1に 「フィンテック」
※2に 「インターネット」
がそれぞれ入ります。
出典A:マッキンゼー、「グローバルバンキング・アニュアルレビュー」、2015。株式会社関総研、「企業経営情報レポート」、2016/5(2018年現在公開されていません)より。
出典B:Business Week、「The Internet Age」、1999年10月4日。名古屋大学、村井、「銀行に変革を迫るもの」より。
表現法はちょっと違いますが、いずれも
「革命的な」変化を彷彿とさせる表現であり、
こうした表現は「バブル」の期間中は頻繁に
見られるものです。
何がいいたいかというと、
「歴史は繰り返すし、実際に繰り返そうとしているのだろう」
ということですね。
ITバブル崩壊後、どうなったか
では、もし歴史が繰り返すなら、
ITバブルが崩壊後どうなったのか
振り返っておくのが賢明です。
名著、ウォール街のランダム・ウォーカーに
分かりやすいまとめがあったので引用しておきますと
バブル崩壊後の下落率が、
アマゾン 93%
シスコシステムズ 87%
ノーテル 99.5%
ヤフー 97%
と、投資家から見れば
ほぼほぼ、全部を失った、
と言える状態ですね。汗
フィンテックが同じ軌跡をたどるかどうかはまだ分かりませんが
もし今後フィンテックがバブルの様相を呈したとすると
少なくとも「フィンテックだけは別物」と考える根拠は
どこにもなさそうです。
フィンテックバブルから冷静さを保つために
こうしたバブルの根源的な理由は、
「人間の欲」です。
この人間の欲、普段は全然問題ないですし、
逆に全く無欲の人間もちょっと問題です。
が、投資に関していうと欲が原因で
大やけどをしてしまうことも
普通によくある話ですので、
うまくコントロールする必要があります。
気持ちの面で考えると、ワクワクしたいだけなのか、
あるいは本当に資産を増やしたいのか、
そこはご自身の中で、
きちんと見極める必要があります。
ちなみになんですが、インデックス投資を継続していれば、
「自動的に」フィンテックへも投資することになります。
これは考えれば当たり前の話で、
インデックスというのは基本的に「市場全体」への
浅く広い投資になっていますから、
その中にフィンテック関連銘柄も
含まれていく、ということなんですね。
だからインデックス投資をしていれば
「バスに乗り遅れる!」と
浮足立つ必要は全くありません。
確定拠出年金内で
パッシブファンドに投資していても、
同じ話です。
フィンテック関連銘柄やフィンテックファンドに投資する場合、
既に投資しているのに「上乗せ」して投資する意味が
どれぐらいあるのか?
という観点で考えるのも良いかもしれません。
フィンテックで身近に使えるサービス
僕はなにも、フィンテック技術がダメで
今後伸びない、と言っているわけではありません。
投資家として参加する場合には、
あくまでもお祭りに乗る話であって、
そこは気をつけましょう、という話なだけです。
フィンテックのサービスをユーザーサイドから
利用するのは、生活やビジネスが便利で
効率的になるわけですから
むしろどんどんやるべきでしょう。
いくつかご紹介しておきますね。
人気のクラウド家計簿、マネーフォワード
クラウド家計簿の中で、非常に便利で使えるのが
マネーフォワードです。
マネーフォワードは現時点で300万人以上が利用していて、
クラウド家計簿の定番になりつつあります。
マネーフォワードに登録する場合の
リスクと注意点についてはこちらの記事に書きましたので
必要に応じて参考にしてください。
急成長中のzaim
もう一つ、マネーフォワードと同じか、
それ以上の勢いで成長しているのが
zaimです。
長くなりそうなので、マネーフォワードとの比較は
また別記事でやろうかと思いますが、
マネーフォワードより後発のサービスなので
より「スマホ」を意識したものになっているようです。
(感覚的なレビューですが)
ビットコインの大御所 bitFlyer
ビットコインは値動きの荒さで注目されていますが、
本来は決済サービスが簡単に出来ることから
爆発的に広まった仮想通貨です。
リスクやメリット、デメリットを理解した上で
理性的な範囲で使うなら、特に問題無いと思いますね。
こちらの記事も参考にしてください。
他にもいろいろ使えるサービスがありそうですが、
この記事の主旨ではないので、これぐらいにしておきます。
(ニーズがあれば、また別途)
フィンテック投資とのつきあい方まとめ
最近のフィンテックブームについて、
少し書いてみました。
ブームへの投資はリスクも大きいということは
ITバブルとの比較でご理解いただけたと思います。
投資はあくまでも個人の自由ですから、
やる、やらないは最終ご自身の判断ですが、
やるなら相応のリスクは覚悟してくださいね。
フィンテックのサービスは、
使ってみると便利なものが多いですので
あまり毛嫌いせず、使えるものからどんどん使って
便利にしていきましょう!