NISA、ETF、ファンド。バリュー平均法なら「なに」を「どこ」で投資すればいいの?
長期投資向けファンドとETFの比較(その1)
長期投資向けファンドとETFの比較(その2)
に書いたように毎月積立ならファンドが利便性で有利なんですが、
バリュー平均法は自分でそのつど売り買いするので
ETFも断然、選択肢に入ってくるはずです。
ETFへの投資を前提に、もう少し深堀りしてみました。
目次(タップでジャンプ)
ETF、ファンド比較表
長期投資向けファンドとETFの比較(その2)で掲載した
比較表をもう一度掲載します。
この比較によると、債券クラスは国内、海外とも
ETFにメリットがありません。
国内債券ETFは設定がありませんし、
海外債券ETFは購入単位が大きすぎます。
ということでETFの選択肢は国内、海外の株式クラスとなりますが
いずれも購入単位は特に問題はなさそうです。
また投資額が大きくなれば、長期的なコストを抑えるために
海外ETFも視野に入れていく必要があるかもしれませんが
現段階では国内ETFと海外ETFの信託報酬の差は0.1%未満ですので
焦って海外ETFに飛びつく必要はないと思います。
国内ETFの流動性を気にされる方もおられるようですが、
マーケットメイクで最低限の流動性は確保できますし、
今後ETF市場が拡大していけば流動性は高まっていきますので
長期的には解決していくと予想しています。
経済危機時に狼狽売りしたいというような目的でもなければ、
普段はマーケットメイクの流動性で十分かと。:p
危機時はむしろNAVより安く買えてお得かも知れません。
ということで、株式クラスの国内ETFを
みていきましょう。
日本株式クラスのETF
日本株式クラスにTOPIXを採用するというのも、
問題ないでしょう。
むしろMAXISトピックス(1348)は
信託報酬が0.0819%とダントツに低いので
投資対象としての魅力は大きいです。
逆にiシェアーズ日経225(1329)とかだと信託報酬が0.17%と
MAXISトピックスの倍以上のコストがかかるので
オススメできません。
日本株クラスは
- 1348 MAXISトピックス上場投信
で決まりでしょう。
次に海外株式クラスには大きく先進国と新興国がありますが、
ここではいずれもiシェアーズを取り上げました。
以下、先進国と新興国それぞれについて検討します。
先進国株式クラスのETF
がありますが、いずれも信託報酬0.25%と横並びです。
コスト的にはどれでも構わないのですが、
1581 iシェアーズ先進国株ETFの売買単位が1口と小さく、
少額からポートフォリオを組めるのでこのなかではお勧めです。
(他2つもそれほど購入価格は大きくないですが)
純資産総額で見ると
1550 MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信が200億弱、
1581 iシェアーズ先進国株が500億弱、
1680 上場インデックスファンド海外先進国株式が75億と
こちらも1581 iシェアーズがダントツで大きいです。
ただ、市場の流動性の観点からは、1550 MAXISが多いようで、
これはカブドットコムのフリーETFの影響もあるかな?
と思います。
ということで先進国株式クラスETFは
- 1581 iシェアーズ先進国株ETF(MSCIコクサイ)
か、流動性重視なら
- 1550 MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)
がおすすめですね。
新興国株式クラスのETF
- 1681 上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング):信託報酬 0.25%
- 1582 iシェアーズエマージング株ETF(MSCIエマージングIMI):信託報酬 0.18%
の二つがありますが、信託報酬で見ると
1582 iシェアーズエマージング株ETFの方が低コストです。
ただ、インデックスの内容が少々、異なります。
MSCIエマージングと、MSCIエマージング「IMI」の違いで、
IMI=Investable Market Indexとなっています。
この違いを端的にいえば、
より時価総額の小さい銘柄も含みますよということです。
これにより
MSCIエマージングはは新興市場の時価総額の約85%をカバーし、
MSCIエマージングIMIは同時価総額の約99%をカバーする
という違いがあるようです。
小型株のパフォーマンスは中・大型株より相対的に高いという
アノマリーもありますので、IMIの方がもしかしたら良いかも知れませんが。
まぁ、価格推移を見ても、
視力検査ですか?
というぐらいの違いしかありませんので
おおらかな人はどちらでもいいと思います。
1582 iシェアーズエマージング株ETFの資産額は5,000億以上と
こちらも申し分ありません。
ということで新興国株式クラスはコストの安い
- 1582 iシェアーズエマージング株ETF(MSCIエマージングIMI)
がいいと思います。
NISAの優位性とロケーションの考察
売買手数料と配当(分配金)に関してはNISA口座が有利です。
配当に対する非課税効果
ETFは配当の自動再投資ができません。
これはファンドにはないデメリットになります。
例えばMAXISトピックス上場投信の配当実績は
のようになっています(MAXISトピックス上場投信2014/06月報より抜粋)。
2013年度は790+850=1,640円/100口の実績で、
2014/01時点の市場価格約1,200円から計算すると、
1640 ÷ (1200*100) = 1.36%
の配当金となります。
課税口座の場合、配当金に20.315%課税されますから
1.36% x 20.315% = 0.276%
の課税となります。
信託報酬コストを0.1%単位で削っている世界で、
これは結構大きな額ですよね。
NISA口座を使えば配当も非課税となるので
自動ではないにしても、手動で再投資すれば
課税コストを避けながら効率よく増やしていくことが可能です。
2015年からNISAの最大投資枠が200〜300万に
拡大されるとの情報がありますので、これが実現すれば
NISA口座で実践的な資産運用が可能になりますね。
売買手数料無料の効果
ETFには証券会社の売買手数料がかかります。
例えばSBI証券だと20万まで185円ですから、往復で
185 x 2 ÷ 20万 = 0.185%
となり、こちらも見逃せないコストですよね。
NISA口座では売買手数料を無料としている
証券会社がいくつかあります。
最もアグレッシブなのは松井証券で、
現行のNISA制度の元で恒久的に
売買手数料を無料としています。
ちなみにSBI証券、楽天証券は2014年のみ、手数料無料。
そんなんでどうやって儲けるの?
と逆に心配になりますが、
そんな心配を我々がする必要はありませんので、
ガンガン使わせていただきましょう。
ETFであればどの証券会社で買っても同じなので
基本は手数料の安いところがいいですね。
NISA証券会社を選ぶポイントは
- 1度NISA口座を開設すると4年間変更できないので選択は慎重に
- 商品ラインナップをチェックして。松井証券はETFは扱うが、ファンドの取り扱いはありません。
例えばETFは松井証券、ファンドはSBI等のように
使い分けが出来ればベストなんですが…。
現行NISA制度ではひとり1口座しかNISA口座をもてないので
不便なんですが、将来的には複数(最低、2口座は)扱えるように
制度変更して欲しいところですね。
あとNISAとは別に、カブドットコム証券が
「フリーETF」としていくつかのETFの設定を無料にしています。
もちろんカブドットコムにもNISA口座はありますので
合わせて使う、という選択肢もアリですが、
残念ながらフリーETFはMAXISシリーズがメインですので
(当たり前ですが、MUFGグループの囲い込み戦略)
上記のようにiシェアーズを狙うなら
結局、松井証券のNISA口座がベストになります。
バリュー平均法の投資先まとめ
バリュー平均法に適した投資商品を検討してみました。
まとめると
バリュー平均法に適したETF商品(国内)
- 国内債券クラス:三菱UFJ国内債券インデックスファンドなどがあるが、NOMURA-BPI指数は国債が約80%なので、国債を直接購入するほうが合理的。ただし物価連動国債が販売されるまで待ってもいいかも?
- 海外債券クラス:SMT グローバル債券インデックスオープン:信託報酬 0.525%
- 国内株式クラス:1348 MAXISトピックス上場投信:信託報酬 0.0819%
- 海外株式クラス(先進国):1550 MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信:信託報酬 0.25%
- 海外株式クラス(新興国):1582 iシェアーズエマージング株ETF(MSCIエマージングIMI):信託報酬 0.18%、ただし流動性がかなり低いのでファンドもあり。
さらに中・小型株への投資もするなら
- EXE-i グローバル中小型株式ファンド(分析記事):信託報酬 0.51%
を加えてもいいと思います。
債券クラスのよいETFが見つからず、
株式クラスよりもコストが高めという
少々もどかしい結果となりました。
国内債券クラスに関しては
2015年に物価連動国債の個人向け譲渡が解禁になりますので
それまで待ってから判断してもいいかも知れません。
もちろん、上は典型的なポートフォリオに必要な資産クラスであり、
凝ったことをしたいのであればさらに他のファンド、ETFも
調べる必要がありますが、基本の分散投資はこれらで完成します。
バリュー平均法に適したロケーション
バリュー平均法は大きく利益が出た場合に売ることもあるので
確定拠出年金や来年から購入枠が拡大される(らしい)NISA口座などの
非課税口座を積極的に活用することでより高いパフォーマンスを目指せます。
上のファンド・ETFなら確定拠出年金口座で運用できる商品との親和性も高いので
売りだけを確定拠出年金口座で行なう「合わせ技」が使えるという
大きなメリットもあります。
ただし注意して欲しいのは、現行NISA口座は
あくまで「5年間非課税」なだけです。
長期投資は10年、20年継続するものですから、
最初の5年だけ有利でも、トータルで不利になってしまう可能性は
頭に入れておく必要があります。
現行NISAがそのまま変わらない、という前提条件なら
10年以上の長期投資ではやっぱりファンドに優位性があります。
そのへんが、やはり流動性の低下に繋がっている面は
否めないですかね…。
手間を惜しまないなら、
最初の5年間はNISA+ETFで、その後ファンドにスイッチする
という手も考えられますけどね。
通常とは逆方向ですけども。
ベストロケーションに関して、以下の記事でコスト分析していますので
併せて参考にしてください。
証券会社の手数料を徹底的に比較しました。